南ノさん
南ノさん、やさしいお心遣いいただき、どうもありがとうございます!!


マンションの漏水事故はですね、実は昨夏に起こったものでして、事故発生から半年以上かかって、ようやく明日から復旧工事が始まります。

ここまで長い道のりでした……。

すぐに第三者の調査会社が入って、相手方(上の階)の過失が10割、当方が0と認定されたのにもかかわらず、相手方は被害の賠償する気が全くなく、半年以上ごね続けてですね……。

示談に応じず「一円たりとも払いたくねぇ」とごねていれば、復旧工事の開始がどんどん遅れていくので、困るのはわたしたち被害者だけ。加害者は何も困らず、ごね得なのですね。

この件はまだ進行中なので、ぜんぶ終わって落ち着いたら、どこかで振り返って書きたいです。


それから義母の話も読んでいただき、恐縮です。

昨日も今日も急に電話がかかってきて、どうも突発的な不安に襲われるようですね。

こういうのは治るものではないので、折り合いをつけてうまくつきあっていくしかないのかなと思っています。

こちらも近々、つづきの話を書きたいです。


南ノさんのnote、拝読しています!

『短篇ちょこれいとボックス』というタイトルがかわいいですね~^^

『奇譚草紙』『ミナノSF劇場』とあわせて、それぞれにテーマに沿う短編作品を収録される予定なのですね。

一度読んだ作品でも、新鮮な気持ちで読み返しております。

新しい連載の「日々是口実」も、楽しみにしていますね^^


2023/04/02 22:22

そして誰もいなくなった的な…
まさか入居して一年も経っていないのに、出ることになるとは……。


6.5畳のトランクルームを借りたので、今そこに荷物を搬入しているところです。


一時退去の理由は、上層階からの漏水事故。


復旧工事が終わったら、また戻ってきます。


2023/04/01 13:27

mikafone

2023/04/01 09:42

引越し屋さん到着待ち
だんだんと 片付いていく 我が家かな 字余り

2023/04/01 08:50

mikafone

2023/04/01 08:50

最近のお悩み

最近の悩み、それは義母(夫の母)とのつきあいです。


二月に義父が救急車で運ばれ、病院から連絡を受けたわたしたち夫婦は、搬送先へ駆けつけました。

救急治療室の家族控室で、わたしは初めて義母と会い、言葉を交わしたのです。

結婚して何年も経つのに、「初めて」って意味がわからないですよね?

でも、本当に「初めて」だったのです。


夫とは学生時代からの長いつきあいですが、婚約期間中も結婚してからも、一度も義母と会う機会がありませんでした。

義父と義妹とは、これまで何度も顔を合わせて、一緒に食事をしたりしています。

わたしたち夫婦は結婚式や披露宴をしていなくて、ウェディングフォトを撮って、両家の顔合わせをかねた食事会をしただけでしたが、そこにも義母は出席しませんでした。


夫と義父は、わたしと義母を会わせたくない、家には来ないでほしいという一点張りだったのです。

二人がそこまで頑なに義母と会わせないようにしていたのには理由があります。それは義母がこころの病気を患っていたからです。

夫の話によると、妄想性パーソナリティ障害と言うのだとか。


その病気の症状の一種なのだと思いますが、義母はわたしの結婚前の名字が気に入らないとかで、一方的に嫌われていた? ようでした。

義母が以前、嫌な目にあわされた人物(義母の主観なので事実かどうかは不明)とわたしが偶然にも同じ名字だったそうで、その人物とわたしは全くの別人にもかかわらず、嫌な思い出がフラッシュバックするそうなのです。

夫から理由を聞いた時、「は!? そんなことで!?」と意味がわかりませんでした。


そういうわけで、結婚後もわたしは一度も義実家に足を踏み入れたことがありませんでした。年末年始などは、夫がひとりで帰省しておりました。



しかし、義父の急死を契機にわたしも義母とついに対面したわけです。義実家にもお葬儀や法事の関係で何度も足を運びました。


こころの病気というのはグラデーションがあるので、症状が落ち着いているときは社会に適応できている(かに見える)んですよね。

ふつうに会話が成立して、一見するとふつうに見えるので気づかれにくいですが、身近に接すれば接するほど違和感を覚える、つじつまの合わない言動が目に見えるようになってきます。


先週は義父の四十九日のお勤めがあり、再び義実家に行ってきました。

その翌日、義母から急に電話がかかってきて、

義父の葬儀をお願いした「葬儀社の親会社がアイ〇〇だけど、AIが運営しているんじゃないの? 利用者全員がロボットに洗脳されちゃうのでは?」という内容の話でした。


一体どうしてそんな発想になるのでしょうか?

恐ろしいことに、義母は本気でそう思い込んでいて、どんなに夫が事実を説明しても聞く耳を持たず、義母のなかでは自分の妄想こそが「真実」となっているのです。


Aという事象とBという事象があったとき、AとBはそれぞれ独立している全く関係のない事象であり、それぞれを別々の問題として考えるのが、正常な認知ですよね。

しかし、義母には病気の影響による認知バイアス(認知の歪み)があるのか、AとBが結び付けられてしまって、そのせいで急に怒り出したり、不安に陥ってしまうようなのです。

わたしの旧姓が気に入らないと言っていたのも、認知バイアスなのでしょうね。


周りの家族が「それは間違ってる。正しくは〇〇」といくら言葉を尽くして説明しても、義母には全く伝わらないのです。

周りから見ると明らかに論理がおかしいことでも、ご本人のなかではつじつまが合っているので、ご自分では「おかしい」とは思っていないのですね。

説明するだけ無駄と言うか、義母は「息子から否定された」という負の感情だけが残るようで、あとからその嫌な気持ちだけを思い返して「言い方が悪い」とか「目上の人に対する態度がなってない」とか再度怒り出すのです。



全く無関係なAとBを短絡的に結びつけて不安や恐怖に陥る認知バイアスって、なんだか陰謀論者やQアノン信者たちの思考とよく似ていますよね。

ピザゲート事件とかね。

これって、精神医学では症例名がついているのでしょうか。


ここ数年、週刊誌や新聞などで『母親を陰謀論で失った』『陰謀論者になったお母さん 目を覚ましてほしいと願うだけ』『コロナ陰謀論を信じた母が「別人に」』などの、当事者家族による手記が次々と掲載されるようになりましたね。

もちろん個別の事情があると思いますが、「陰謀論者になった」というかたがたは、それまで気づかれていなかっただけで、もともとご本人が抱えていた何らかのこころの病気が根底にあって、いま表に出てきただけなのでは、と思ったりします。



義母も最初からこうだったわけではなくて、若い頃は小学校の教師だったそうです。

夫によれば、自分が小学生の頃はふつうの家庭だったけど、だんだんおかしくなっていったという痛ましい話でした。


先週のとんでもない妄想話も、義母にとっては平常運転なのです。

もしわたしたちが義母と同居していれば、虚実入り混じった話を毎日聞くことになりますよね。

そんな義母を見捨てず、長年連れ添ってきた義父は本当に頑張っていたのだな、と尊敬の気持ちをあらたにしました。


2023/03/30 23:51

南ノさん
南ノさん、お祝いいただきまして、どうもありがとうございます!


タイトルに選んだ聖書箇所は、わたしがこの作品でいちばんお伝えしたかったメッセージでした。

そのことを南ノさんに汲み取ってもらえたことに、胸がいっぱいになりました。

「作品の最後には「光」が差している」との温かいお言葉をいただき、この作品を書いて良かったと心から思いました。



日本聖書協会の公式HPもご覧くださったのですね!

そうなんです、今のところ、HP上では選考結果の発表はないですよね。

日本聖書協会の広報から、HP掲載の可否についてたずねられたので、いずれは掲載するつもりなのだと思いますが、いつなのかは分からないですね。


3月18日に銀座の教文館で結果発表と授賞式&特別対談が行われたのですが、わたしはオンラインで参席しました。

大賞も含めて入賞した全10作品が、あらかじめ主催者からPDFで送られてきてきて、入賞者からのひと言コメントや審査員のお二人による講評を聴きながら、作品を読むことができました。


受賞作品をお読みして、大賞、準大賞はともに大切なご家族を亡くされた体験を綴られたもので、ぜひとも多くのかたに読んでもらいたいなと思いました。


ただですね、NOVEL DAYS上で応募された作品と異なり、日本聖書協会に直接応募されたかたは、明らかに実名で応募されていたようでした。

このままHPに掲載して大丈夫なのかな……? といささか心配になりました。


HP上でなにか公式発表があった時には、しゃべログでご報告しますね!



そして話変わって、南ノさん、新たにnoteにもページ開設されたのですね!?

おおおお、さっそく見に行きますね~^^


最後にもう一度、このたびは一緒に喜んでくださり、本当にどうもありがとうございます!


2023/03/26 00:16

入賞おめでとうございます!
mikaさん、聖書エッセイ『あなたの目は見ておられた』佳作入賞おめでとうございます!


お祝いが遅くなってしまってすみません…(汗)


私はNOVEL DAYSの活動報告一覧って、実はあまり見ないんです(時々、ヘンなものが眼に入るので…笑)


そのせいで、mikaさんの活動報告を見逃してしまっていたのです。すみませんでした…


mikaさんのあの作品は、以前に自分の「日々ログ」でも書かせていただきましたが、心を底から揺さぶられるような感動がありました。


正直、大賞だったと聞いてもちっとも驚かないような、完成度の高い作品だったと思います。実体験を描くという意味では確かにエッセイで、文字数もとても少ないにも拘わらず、読者としての私の印象では、優れた私小説の大作から受けるような、文学的に昇華された巨きな力を感じました。


その文学的力によって、やっぱりあの作品の最後には「光」が差している気がします。細かい粒子となって瀰漫し、隅々にまで届く光です。そしてそこに、作品のタイトルがすっと重なるような気がしました。


mikaさん、このたびはおめでとうございます!


追伸:

先程、日本聖書協会のホームページを確認したのですが、受賞者の方々のお名前を見つけられませんでした。それとも私が見つけられなかっただけで、他に特設ページなどがあるのでしょうか。

こんな素晴らしい作品が入賞したのだから、もっと大きく取り上げられてもいいのに…元々作品募集がNOVEL DAYSにも出ていたのだから、そちらに結果を出してもいいのでは? などと思ってしまいました(個人の感想です)。

2023/03/24 00:50

成瀬川さん
成瀬川さん、こんにちは。

なるほど、ギリシア神話の「プレイアデス七姉妹」というのがあるのですね~!?

石油メジャーも「七姉妹」という呼び方をするとは、面白いですね。

どうして七兄弟とは言わないのでしょうね。

ご教示どうもありがとうございます^^


東京都美術館のエゴン・シーレ展、見に行かれたんですね!!

うわあああああ!! わたしも見たいです!


ウィーンで一番大きな美術館と言えば、美術史美術館なんですけど、美術史美術館のコレクションはルネサンス・バロック絵画が中心です。

じゃあ、クリムトなどのいわゆる世紀末絵画はどこにあるかと言うと、ベルヴェデーレ宮殿にあります。


だいぶ昔の話ですが、わたしがクリムトの絵を目当てにベルヴェデーレ宮殿に行ったとき、ちょうどエゴン・シーレの大回顧展をやっていたのです。

そのときはじめて、エゴン・シーレという名前を覚えて、お目当てだったクリムトを超える衝撃を受けたのでした。



その当時のベルヴェデーレ宮殿ギャラリーの入口付近の写真です。


いま思い返しても、エゴン・シーレの絵って不思議なんですよね。

美術の本などで見ると、枯れ木のような弱々しい男女の絵に思えるのですが、実物を見ると印象がまったく違う。

枯れ木はその通りなんですけど、力強さがあって生命力を感じるんですよね。

もう一度、この目で見たいです。


東京都美術館では4月9日までなんですね。

ああ、もう閉幕が間近! でも、どこかで時間をつくって足を運びたいです。

成瀬川さん、ご紹介どうもありがとうございます!!


2023/03/12 21:08

おはようございます。


>「神セブン」という言い方


たぶんですが、女神と言えば「セブンシスターズ」が最初にあたまに浮かびます。ギリシア神話に登場するプレイアデス七姉妹のこと。

また、僕の仕事の領域だと、ほぼ寡占企業だった国際石油資本の七社も、セブンシスターズと呼びます。

2023/03/08 08:11

#わたしの女性作家神セブン

Twitterで話題(らしい)、#わたしの女性作家神セブン

自分にとって「神」とまで呼べるか?と言うと疑問ですが、読後何年たってもよく覚えていて、印象深い本を引っ張り出してみました。



ジェイン・オースティン

トーベ・ヤンソン

リュドミラ・ウリツカヤ

遅 子建

ヘルタ・ミュラー

マルセー・ルドゥレダ

スベトラーナ・アレクシェーヴィチ


この中で「作家読み」していたのはオースティンです。

『高慢と偏見』『分別と多感』など、どれも名作ですが『エマ』が一番好き。


ヤンソンさんはなんと言っても、ムーミンシリーズ!!

ムーミンのご先祖ぬいぐるみも持っています。


ウリツカヤは『通訳ダニエル・シュタイン』が一番好きです。

写真のものは『子供時代 1949年』と題した絵本(文:ウリツカヤ、絵:ウラジーミル・リュバロフ)。


遅 子建の『アルグン川の右岸』はエヴェンキ族の100年の歴史を描いた物語で、たくさんのかたにおすすめしたい本ですが、あまりに好きすぎて、どこが良いとか客観的に言えないのです。読後、ため息(感動の)しか出ない本。

ガルシア=マルケスの『百年の孤独』のような味わいの本で、個人的にはマルケスより好きです。


そのマルケスは、マルセー・ルドゥレダの作品を愛してやまなかったのだとか。


ミュラーとアレクシェーヴィチはノーベル文学賞作家です。

7人縛りでなければ、同じくノーベル文学賞作家のアリス・マンロー、ドリス・レッシング、トニ・モリスン、オルガ・トカルチュクも入れたいところ。

ナディン・ゴーディマーも同じくノーベル文学賞作家ですが、「女性作家」というくくりでは語れない冷徹なまなざしがある気がします。


本当はチママンダ・ンゴズィ・アディーチェも入れたかったです。

(紙の本では持っていないけれど、『半分のぼった黄色い太陽』は何年たっても忘れられない作品のひとつ)



それにしても「神セブン」という言い方、なぜ10人とか12人とかではなく、7人なのか。

七福神からきているのかな……?

「竹林の七賢」というのもありますね。悪霊だけど「七人みさき」とかも7人ですよね。


2023/03/07 23:35

こ、これは……


桐乃さんが『ブックエンド』でご紹介くださった『家守綺譚』!!


Yonda?くん&『yom yom』のお話もなつかしく拝読しました。

一時期、Yonda?くんぬいぐるみのために新潮文庫ばかり買っていたのでした。

(文庫カバーの折り返しのぶどうマークを100枚集めるともらえた)


桐乃さん、体調を崩されて療養中とのこと。

どうかお大事になさってください。


2023/03/04 12:42

南ノさんへ
南ノさん、あたたかい励ましのお言葉をどうもありがとうございます。


お義父さんはアメリカ文学の研究者だったので、顔合わせの席で一緒にフォークナーの話をしたのを、つい昨日のことのように思い出せます。

アメリカ文学のなかでも、ソール・ベローなどユダヤ系の作家に詳しく、常日頃からマイノリティにまなざしを向けておられた先生でした。

黒人問題にもすごく関心を持っておられて、ああ、トニ・モリスン読みましたよ!って早くお伝えしておけばよかった……。

もっとお話をお聞きしたかったです。

落ち着いたら、お義父さんが生前に発表した論文も読んでみたいね、と夫と話しています。



なんと! 「オーストリア旅行の思い出」、公開当初に読んでいてくださったのですね。

うれしい気持ちでいっぱいです^^


わたしは3歳頃から高校卒業までピアノを習っていて、その後、オルガンに転向しました。

音楽教室で本格的な指導を受けるようになる前、いちばん最初にピアノの手ほどきをしてくれたのは、母でした。

毎朝、保育園に登園する前(大人にとってはもっとも忙しいであろう時間帯)に、母と一緒にピアノのお稽古をしたのでした。

幼少のわたしはよくそのお稽古をいやがり、母が「じゃあピアノやめる? やめてもいいよ」と言うと、そのたびにわたしは泣いて「やめないもん」と答えたのだそうです。

(幼いながらにいじっぱりだったのか、練習曲はきらいでも、ピアノを弾くこと自体は好きだったのか……)


そのとき「やめる」と言っていなくて良かった。

大人になって、奏楽奉仕ができるまでになった、わたしの演奏がだれかのお役に立てるようになれたのは、幼い頃の母との日々があったおかげだと思います。


昨年は気持ちの整理がつかず、こうして母との思い出を書いたりすることもできませんでした。

少しずつ、母の死とも向き合っていかなければ、と思っています。



南ノさん、お心を寄せてくださり、本当にどうもありがとうございます。


2023/02/14 21:45

mikaさん、お義父さまのこと、心からお悔やみ申し上げます。

今の世の中は、一年後の自分のことすら想像できないと、私も常々感じておりますが、今回のmikaさんの身に起こったことは、「あまりにも急」で「目まぐるしく、矢のよう」であっただけに、それが過ぎた後には、疲れが一気に出たりするのではないでしょうか。

どうか体調などお崩しになりませんように、くれぐれもお気をつけ下さいませ。


この間書いて下さった「オーストリアの旅行の思い出」は、かなり前だったと記憶していますが、実はmikaさんが公開なさった直後に拝読しております。写真と文章が何とも言えないハーモニーを奏でていて、本当に素敵だと思いました…(*^^*)


mikaさんは、ヨーロッパに関する膨大な知識をお持ちであると同時に、実際にご自分の目で見、手で触れ、舌で味わって理解される方で、だからこそmikaさんの書かれるものは、読者が今まで知らなかったことを教えて下さるだけでなく、血の通った面白さに満ちているのだと、いつも感じています。

また、こうした西洋文化・思想とは、一見相いれないような東洋文化・思想が、mikaさんの中で、きちんと調和を保っているというところが、本当にすごいと思います。


今回の「白骨の御文」のお話、お母さまと夢の中でおしゃべりするお話……深く心に沁み入りました。


どうかお力落としのないように。

ご自愛下さいませ。

2023/02/13 22:01

白骨の御文
先日、義父(夫の父)が急死し、あまりにも急だったものですから、警察の事情聴取、ご遺体の引き取り、義父の職場への連絡、通夜・火葬・葬儀と目まぐるしく、矢のように過ぎた日々でした。

生前の義父は親鸞さんが好きで、『歎異抄』をよく読んでいたということで、浄土真宗のお寺におみおくりをお願いしたのでした。


通夜とお葬儀でお坊さんが最後に読んでくださったのが、蓮如上人の『白骨の御文』でした。

わたしは浄土真宗のお葬儀に出席するのは今回が初めてで、昨年にわたしの母が亡くなった時は曹洞宗でしたので、そのときのお坊さんは『修証義』を読んでおられました。


「されば朝には紅顔ありて夕べには白骨となれる身なり」という『白骨の御文』の言葉を聞いて、朝には元気だったのに夕方には亡くなっているというのは、まさにこのたびのお義父さんのことを言っているように感じました。


わたしが2021年に書いた『「埋もれた日本」はどこにある?』の「2.「熊野の本地」は、本当に日本人のキリスト教受容に影響を与えたのか?」で、この『白骨の御文』について取り上げていました。

2021年当時は、こんなことを書いていました。



蓮如の無常観は、『方丈記』や『徒然草』の「世を儚み、世を捨てる」無常観とは異なる。

『白骨の御文』には、「されば、人間のはかなき事は、老少不定のさかいなれば、たれの人もはやく後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏をふかくたのみまいらせて、念仏もうすべきものなり」と説かれている。

蓮如は、無常であるがゆえに世を儚むのではなく、無常である現実を直視し、積極的に生きることを説いたのだ。



こうして自分で読み返してみると、朝には元気でいても夕方にはもう亡くなっているかもしれないから、一日一日を大切に生きなければいけないのだな、と改めて思います。


今回、ご縁がきてお浄土へ行ったわけだけれども、そのご縁が十年後にくるのか、明日くるのか、誰にも分からないものです。

お葬儀の法話の中で、お坊さんはそんなことをおっしゃっていました。


そうは言っても、悲しいものは悲しいですよね。

昨年、わたしの母が急死したあと、母と一緒におしゃべりしている夢を見るようになりました。夢から覚めて、ああ死んじゃったんだと気づき、涙がでるのです。

そういうことが三カ月ほどつづいたのでした。


わたしの父は人前で涙を見せることはありませんでしたが、妻を亡くしたショックと言うのはすごく大きいものだったようで、眠れなくなり、食欲がなくなり、結果的に帯状疱疹と十二指腸潰瘍になってしまいました。

最近になって、父の体調も落ち着いてきたようにみえます。


母が亡くなった時に、夫がたくさん支えてくれたので、今度はわたしが夫の手助けを精いっぱいできたらと思っています。


2023/02/12 12:20

南ノさん
南ノさん、発話に関する興味深いお話を教えてくださり、どうもありがとうございます!

また、お忙しいなかで「巨大猫の民話①②」もお読みいただき、感謝の気持ちでいっぱいです!!

わぁ、南ノさんは高校時代にプーシキンをお読みだったんですね~。南ノさん、文学少女だったんだろうなぁと想像をふくらましております^^

『大尉の娘』と言えば、日本の宝塚が「黒い瞳」という劇題で舞台化していて、こちらも素敵ですよ。

『ルスランとリュドミラ』のプロローグも、お楽しみいただければうれしいです。


そうなんです、大昔にフランス語を勉強しておりました(遠い目)

無事に初級を修了し、中級フランス語、フランス語コミュニケーション応用、総合フランス語までとりました。

総合フランス語ではモードの歴史(オートクチュール、プレタポルテとか)みたいな内容の仏語テキストを読んでいたので、日頃何気なく目にしているカタカナの服飾用語が実はフランス語由来だったんだなぁと勉強になりました。

中級フランス語でLe Petit Prince(星の王子様)の精読をやって、原語で一番読みたかった本が読めて満足して、そこでフランス語学習はひと区切りとしたのでした。


フランス語の基礎を学んでから、次に取り組んだのドイツ語でした。

その当時、わたしのオルガンの恩師がイタリアに住んでおられて、その先生の紹介でオーストリアのアカデミーに参加させてもらえることになり、喫緊の課題としてドイツ語を勉強したのでした。

そのあたりの話は、オーストリアの旅行の思い出というテーマでしゃべログでかんたんに書いています。

そうやってドイツ語を勉強していても、行きの電車を乗り間違えて(乗る前に駅員さんに確かめたのに)、全く見知らぬ土地の無人駅で途中下車し、ここはどこ……?と呆然としたりしたのでした。

アカデミーが修了したあと、どうやって帰国したかはほとんど記憶に残ってないので、何もアクシデントが起きなかったということは、いちおうドイツ語を学んだ成果はあったのかな……。


その後、同じご縁でイタリアのアカデミーに参加することになって、イタリアは観光客がたくさん来るから英語の案内表記があるだろうと思っていたら、現地では駅名も町や通りの名前もイタリア語の表記しかなく、愕然としたのです。

オーストリアやスイスとの国境に近い山あいの村々を巡り歩いたので、二か国語表記になっているところはイタリア語とドイツ語でした。英語は皆無でした。

ちなみに、山奥に行くと、イタリア語とラディン語の二か国語表記になるのです。ラディン語って何……?と思いますよね。

空港の電光掲示板ですらイタリア語しか書いてなくて(ドイツに飛ぶ便でもドメスティック扱いだから)、予定の便が謎の遅延をしていて、あのときほど、あらかじめイタリア語を少しでも勉強しておけばよかったと思ったことはないですね。


流ちょうに話したり、難しい文学作品を読んだりする必要はなく、最低限、自力で公共交通に乗って目的の場所まで行って帰ってこれるようにするためにも、現地の言葉を学ぶって大事だなぁとしみじみ思います。


2023/02/06 23:38

成瀬川さんへ

成瀬川さん、こんにちは!

シガー・ロスの全アルバムを聴いてくださったなんて、感激です!!

これから、成瀬川さんの執筆作業に役立つかもとお聞きして、うれしい気持ちでいっぱいです(落涙)

今年はなんと、5年ぶりとなるシガー・ロスの来日公演が8月にあるのです。

ああ、チケットがとれたらいいなぁ……。


おお、成瀬川さんはブルガーコフもお読みだったのですね!

以前、ソルジェニーツィンもお読みだとお聞きしましたし、成瀬川さんはソビエト時代の作家を読みこんでおられますね。


わたしの活動報告もお読みくださり、どうもありがとうございます!

そうなんです、≪Мастер и Маргарита≫を読んでいるところです。

今格闘しているのは27章なので、ネタバレ厳禁でお願いします^^

『犬の心臓』と『運命の卵』はわたしも読みましたよ。

これらは昨年の読書会で課題図書になってですね(ウクライナ出身の作家ということで)、みんなと一緒に翻訳本で読みました。

『犬の心臓』と『運命の卵』はともに、ロシア革命や新しい政権に対する風刺が強烈すぎるので、「どうしてこんなものを書いているブルガーコフが逮捕されないでいられたのだろう? 同時代の作家は命を落としているのに……」と、読書会では話題になりました。

その疑問は、ロシア国内でも長年議論されている謎のひとつで、スターリン自身がブルガーコフの作品をこっそり読んでいて、好きだったから、彼だけは殺さないでおいたのだ、という嘘みたいな説が有力と言われています。


『犬の心臓』では、保護犬シャーリクが手術によって人間化し、モスクワ公共事業局動物処理課の課長シャリコフになり、かつての同胞(保護犬たち)を虐殺するようになります。


この手術の期間が12/24から1/6まで。シャーリクが変容するのは1/7。つまり、西方教会と東方教会のクリスマスの期間に手術が行われているので、シャリコフ誕生はイエスの降誕のアナロジーであり、なおかつ意味の逆転と言えるだろうと思います。


シャーリクからシャリコフへの変化は、「目覚めた」プロレタリアートになること、つまりロシア革命の寓話であるという解釈が一般的です。

そしてシャリコフが自分の利益だけを求める醜さ、かつての同胞を殺す悪逆さは、革命後の1930年代の大虐殺を予言したものだと言われていて、たしかにそうかも、と説得力がある説です。


犬のシャーリクは保護してくれた教授に対して「神さま」と呼びかけていますね。

しかし、神ならぬ人間が創造の御業を行おうとした結果、シャリコフという悪魔のような生きものが生まれてしまいました。このことは、革命とボリシェヴィズム(統一された思想によって理想的な新しい人間が生まれるという壮大な社会実験)に対する、ものすごい諷刺だなぁと思うところです。



話変わって、ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、成瀬川さんのおかげで、久しぶりにこの単語を目にしました。

自分の読書ブログを振り返ってみると、『モードの体系』を読んだよと2007年に書いている(このブログは2代目なので、リンク先の記事は2010年掲載)のを見て、そうだこういう話だったなぁと改めて読み直したりしたのでした。

成瀬川さん、いつも刺激を与えてくださり、どうもありがとうございます!


2023/02/04 22:36

mikaさん、おはようございます!! シガーロス、全アルバム聴きましたよ!! 凄かったし、これから執筆BGMに、シガーロス大活躍になります。と、いうのも、シガーロスって、ひとつのアルバムが本当の意味で「コンセプトアルバム」になっていて、ジャンル自体がアルバムごとに違う、なのに全てに「シガーロス感がある」っていう、突き詰め方がとにかく物凄い!! ありがとうございます、感謝の気持ちでいっぱいです!!


そうそう、ソシュール。

現代になって哲学をやるならまずランガージュ、ラング、パロール。このみっつと、あとはシーニュ、シニフィエ、シニフィアンの概念をまず覚えてからスタートだ、っていう(笑)。執筆するとき、どこに照準を絞って書くかによって、説明をどうするか、って問題がありますよね。最初から説明するのだと話の前提が長すぎてどうしていいかわからない、っていうの、ありますね。それが如実にわかる一例だと思います、この話は。よく「ターゲット読者層を決める」って言われますが、要するに今みたいな話なんだと思います。


ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』。日本語訳の小説、読んで感銘を受けた僕は、ブルガーコフ『犬の心臓』や『運命の卵』も読んだのですよ、もう五年以上前ですが。それで、NOVEL DAYSに来て、当時「不動の二位」と呼ばれていた方が隣の県に住んでいまして、一緒にお酒を飲んで、そのとき、ブルガーコフの話になったんです。で、彼は『犬の心臓』を読んでいなかったので説明したのです。そうしたら「この作品もキリスト教のメタファー含まれているぜ」って言うので、「どういうことだ、教えてくれ」って言って、かなり長い説明を受けました。mikaさんの活動報告を読んで、それを思い出しちゃって。当時を思い出して、しんみりしてしまったのですよー。


なんか箇条書きみたくなっちゃいましたが、さっき起きたばかりで、頭が働かなくて、でも、すぐに返信したかったので、書きました。クリステヴァと言えば、ポストコロニアリズムの哲学者でもあり、女性でもあり、説明すべきことがたくさんあると思います。mikaさんの解説を、聞きたいです。ではでは、また。

2023/02/02 03:46

パロールとは……?

南ノさんのモーラ言語とアクセント言語についてのお話と、発声器官の未熟さから「s」音を「ch」音または「t」音で代替するというお話、皆さんと同じく目からウロコでした!!

この南ノさんのお話に、ソシュールと結びつけてアンサーされた成瀬川さんのお話もとても面白く読みました。


ソシュールの言語学に登場する重要な三つの概念があり、それが「ランガージュ」「ラング」「パロール」です。


ランガージュ:広い意味での「言葉」の概念。ラングとパロールの両方を含む。

パロール「発話」の概念。空気の振動、発声器官の運動、発声作用のこと。

ラング「言語」の概念。日本語、フランス語などの意味での言語のこと。


ソシュールは「パロール」(発話)ではなく「ラング」(言語)を言語学という学問の中心的研究対象として定めて、「ラング」を「記号の体系、差異の体系」と規定したのです。


今回の南ノさんのお話は、まさに「パロール」(発話)を主題としたお話ということになりますね。

そういうわけで、南ノさんの視点は「パロールの実践の場にいる」かたならではのもの、と成瀬川さんはおっしゃっているのですね。


ジュネーブ大学で行ったソシュールの言語学講義を、彼の死後に弟子たちがまとめた本『一般言語学講義』がフランス語で書かれているので、言語学の学術用語はフランス語由来のカタカナ語で表記されているんです。

ソシュール自身は母語であるフランス語のほかに、ドイツ語、英語、ラテン語、ギリシア語を習得していました!

これほどの言語知識があると、言語というのは「差異の体系」だと言いたくもなるのでしょうか。



ここからは余談です。

日本語で「パロール」と言えば、言語学の学術用語の意味で使うかたが多いかと思いますが、フランス語では哲学とは全く関係ない場面で、普通の日常会話のなかで使われる言葉なんですよ。


parole

①言葉、文句

②【単数】約束、確約、保証

③【単数】発言

④【単数】言語能力、話しぶり、声の調子

⑤【複数】言葉、歌詞

⑥名言

⑦(ソシュール言語学での)パロール

(クラウン仏和辞典より)


フランスの懐メロで、「Paroles, paroles」(パローレ、パローレ)という超有名な歌があります。

ダリダという女性歌手とアラン・ドロンという俳優がデュエットした歌で、なんとレコード総売上1億7千万枚だそうです。

日本でも70年代に「甘い囁き」という邦題で大ヒットしたそうです。


Dalida, Alain Delon - Paroles, paroles


この歌のサビで、男性は「なんてきみは美しいんだ」と口説いていて、女性は「パローレ、パローレ、パローレ」とひたすら繰り返しています。

1曲通して聴くと、40回くらい「パローレ」と言っているので、とにかく「パローレ」という単語が耳に残る歌ですね。


この歌は、男性側が女性に口説き文句を必死で語っているのに対して、女性側は「男っていつも言葉だけなんだから」とあしらっているという、笑える構造になっています。


あなたはいつも口先ばっかり! という意味合いでparole(言葉)の複数形paroles(言葉たち)が使われていますね。


ちなみにフランス語ではparoleもparolesもパロールという音(よりフランス語らしく表記するとパホール。フランス語の「r」はハ行の音がいちばん近い)なのですが、ダリダさんが「パローレパローレ」と歌っているのは、この歌の原曲がイタリア語の歌だからです。

ダリダさんはイタリア語の歌をフランス語でカバーしているのですが、サビだけイタリア語風に発音しておしゃれさをだしているわけですね。

日本語の歌でもサビだけ英語にしたりしますよね。


大昔にフランス語を勉強していたとき、授業でこの歌をみんなで聞いて、訳詞したのです。

何が言いたいかというと、わたしは「パロール」と聞くと、ソシュールよりも真っ先にこちらの懐メロの方が浮かんでしまって、思わず笑っちゃうという話でした。


『文芸部は眠らせない』115話~119話もとても楽しく拝読しましたので、クリステヴァの話題もふれたかったのですが、余談が長くなったのでまた今度。


2023/02/02 00:26

語り出すと止まらない話……
成瀬川さんがシガー・ロスを聴いて下さっているとのことで、うれしくてですね!!


アイスランドは人口30万人ほどの小さな国なのですが、シガー・ロスとビョークという世界的に活躍するアーティストを輩出していて、すごい国ですよね。


シガー・ロスのヴォーカルであるヨンシーのソロ曲「Go Do」も大好きです。


ヨンシー個人の業績としては、素晴らしい映画音楽があります。

映画『We Bought a Zoo』(2011)のサウンドトラックは、彼らしいきらきらした楽曲に仕上がっていて、わたしのお気に入りです。


意外なところでは、ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』(2010)のアメリカ版公式予告編にヨンシーのソロ曲「Around Us」が使われているのです。


The Secret World of Arrietty Official Trailer

(動画0:50あたりから曲in)


日本版公式予告編では、ケルト音楽風の物憂げな楽曲が使用されていて、アリエッティたちが「滅びゆく種族」というのを前面に押し出すもので、見ていて切ない気持ちになる演出となっていますよね。


一方、アメリカ版公式予告編では、ヨンシーの明るく躍動感ある楽曲に合わせて、動きのある愉快な場面が切り貼りされていて、異種族と友達になれるかも?と思わせる演出となっています。


曲と映像の切り取り方が違うだけで、こうも印象が変わるんだなぁ。

面白いですね。


2023/01/30 22:36

プロフィール

ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

NOVEL DAYSで活動中です。
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