音楽の花束

2023年に聴いた曲まとめ
Spotifyが、わたしが2023年に聴いた楽曲のまとめを作ってくれました。



マイトップソング、1位はColdplayの"Viva La Vida"でした。これはたしかに繰り返し聴いていたので、自分でも納得。

マイトップアーティストの2位にColdplayがランクインしたのも納得。


2位の「電気のない都市」という曲は、椎名林檎ちゃん率いる東京事変の楽曲です。

もの悲しいピアノの旋律とため息のような歌声が、聴いていて心落ち着くのですが、2位にランクインするほど聴いていたとは自分でも驚き。

「電気のない都市」と言うと、震災を思い起こすリスナーも多いんじゃないかと……


わたしが林檎ちゃんを知ったのは中学生の頃で、当時のクラス担任の先生が「幸福論」の歌詞がめちゃくちゃいいぞ、と紹介してくれたのが始まりです。


林檎ちゃんのソロ曲の方が好きで、バンド活動の方(事変)はあまり追ってなかったので、「電気のない都市」と出会ったのは偶然。

友人が顧問を務める高校演劇の公演を観に行ったとき、『うわさのタカシ』という脚本のお芝居のクライマックスで、この「電気のない都市」がBGMとして使われていて、ものすごく印象に残ったのでした。

以来、事変の曲のなかでは、いちばん好きな歌になりました。


マイトップアーティストの3位に宇多田ヒカルちゃんが入っていますが、林檎ちゃんと同じく、やはり宇多田ちゃんも世代なので、長年聞き続けています。

宇多田ちゃんの最近の曲では、『キングダムハーツ』のテーマ曲として使われた"Face My Fears"がいちばん好きです。

宇多田ちゃんと林檎ちゃんは親交が厚く、互いにカバーしあったり、二人のデュエット曲「二時間だけのバカンス」などあるんですよ。

お二人とも年齢を重ねて、音楽の幅も広がり、歌声も容貌もますます美しくなっていっていますね。




マイトップアーティスト1位のM. M. Keeravaniさんってだれ? と思いますよね。

M・M・キーラヴァーニさんはインドの作曲家で、映画『バーフバリ』の音楽を書いたかたです。

マイトップソングの3位と5位の曲は映画『バーフバリ2』の挿入曲です。

Saahore Baahubali

The Saviour

トリウッドというのは、テルグ語映画のことを指します。


今年8月から10月にかけて、インドが舞台のマジックリアリズム小説『真夜中の子供たち』を移動中にちまちま読んでいました。

が、あまりに未知の世界すぎ、文字から情景のイメージがまったく湧いてこないので、雰囲気を盛り上げるため『バーフバリ』BGM集を聴きながら読んでいたのでした。

これほどの長編を読んだのは久しぶりで骨が折れましたが、BGMの助けがあってか、なんとか最後まで読み終わりました。




マイトップソング4位がYesの"Roundabout”というのは、自分でもちょっと意外に感じました。

たしかに70年代、80年代の曲がけっこう好きで、よく聴いていたかも。


EW&Fの"September"、Eurythmicsの"Sweet Dreams"

ELOの"Mr. Blue Sky"、ケイト・ブッシュの"Jig of Life"

マイケル・ジャクソンの"Smooth Criminal"など、

あの時代で好きな曲はいっぱいあります。


Spotifyのおかげで、時代を越えた名曲を聴くことができるので、良いですね。


Yesの"Roundabout”は、2012年からのTVシリーズ『ジョジョの奇妙な冒険』で、エンディングテーマとしてすごく効果的に使われていて、名前を覚えました。


『ジョジョ』の作者である荒木飛呂彦先生が洋楽大好きだそうで、作中に曲名にちなんだキャラクターがたくさん登場します。キラークイーンとか。

漫画は第1部から第4部まで全部読んで、アニメは第3部だけ全部観ました。

最近は観る時間がなかなかとれず、もう6部まで放送が終わっているとは……とても追いつけないです。


2023/12/04 22:13

このアルバムに言葉はいらない

Sigur Rós(シガー・ロス)はアイスランドを代表するバンドです。

1994年、レイキャヴィークにて結成。




わたしが一番好きなアルバムは、こちらの『 (  ) 』

Untitled(無題)などと呼ばれています。

2002年にリリースされた、三番目のアルバムです。

なんと昨年の2022年、このアルバムが20周年記念としてリマスター盤がリリースされました!!



『(  )』は、8つの無題のトラックによって構成されています。

8つの楽曲は36秒間の無音によって前半と後半に分けられ、レコードの表面・裏面をイメージさせます。


前半4つはより明るく、後半4つはより憂鬱。

全体にギターよりもキーボードに重点が置かれ、ヴォーカルであるJónsi(ヨンシー)の中性的な歌声がサンプリングされています。


歌詞が聴き取れないからって、臆病になる必要はありません。

ヨンシーは、意味のない単語と音節で構成された人工言語"Vonlenska"(Hopelandic)で歌っているのです!!

アイスランド国内のファンにとっても、日本人のファンにとっても、全く同じ意味不明の歌なんです。

シガー・ロスの公式発表によると、「You xylo。You xylo no fi lo。You so ..」という11音節で1つのフレーズから構成されていて、このフレーズの繰り返しやアレンジが歌われているそうです。

この言語は「音楽にフィットする意味不明なボーカルの形」だそうで、ヴォカリーズと同じと考えれば分かりやすいでしょう。

アルバム『Von』と『Takk ...』の一部でもこの言語で歌われています。



シガー・ロスの音楽的特色は、このヨンシーの歌声と、ヴァイオリンの弓でエレキギターを弾く独特な奏法、幻想的なキーボード。

さらに、シガー・ロスの音楽には欠かせないのは、弦楽アンサンブルであるAmiina(アミナ)の存在です。


アミナの演奏者は、María Huld Markan(ヴァイオリン)、Edda Rún Ólafsdóttirviolin(ヴァイオリン)、Ólöf Júlía Kjartansdóttir(ヴィオラ)、Sólrún Sumarliðadóttir(チェロ)。 

(現在は男性2人が加わり男女混成6人組となっていますが、2002年当時は女性だけでした)


男性バンドであるシガー・ロスと、女性アンサンブルであるアミナの合奏によって、彼らの奥深い調和的な音楽が成り立っているのです。



このアルバムでわたしが最も好きな曲は、最初のUntitled #1("Vaka")です。 

澄んだ美しいピアノのメロディーに、静謐な弦楽器とオルガンの通奏低音が重なり、電子音とギターのノイズが浮遊感を与え、ヨンシーの煌めくような高音が調和します。


この楽曲のミュージックビデオは、2003年にMTVヨーロッパ・ミュージック・アワードの最優秀ビデオ賞を受賞しました。 



『 (  ) 』は無題のアルバムであり、トラックも全て無題で、聴き手が自分で曲名を思い浮かべることが出来ます。 

このような手法は、モンドリアンのコンポジションなど抽象絵画を思い起こさせますね。 

またアルバムの前半と後半を分ける36秒間の無音は、ジョン・ケージの「4分33秒」を思い起こさせます。

本盤はグラミー賞にノミネートされるなど、その芸術性を高く評価されました。



『(  )』の楽曲は、映画やドラマ、舞台のBGMとしてたびたび使われているので、思いがけないところで耳にすると嬉しくなりますね!


2023/01/30 20:57

「ゴルトベルク変奏曲」聴き比べ
J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」BWV988は、二弾鍵盤のチェンバロのために作曲された楽曲だけれど、さまざまな楽器で演奏されている。


わたしが聞き馴染みあるのはチェンバロ演奏で、グスタフ・レオンハルトのアルバムを持っている。

Goldberg Variations, BWV988 : Variation 30 - Gustav Leonhardt


しかし、「ゴルドベルク変奏曲」と言えば、グレン・グールドによるピアノ演奏のイメージが強いだろう。

Goldberg Variations, BWV988 : Variation 30 - Glenn Gould

グールドの演奏は、レオンハルトと比べると、よりシャープでテンポが速い。


意外な楽器では、ヴィオラ・ダ・ガンバのアンサンブル、フレットワークによる演奏がとてもおすすめ。

Goldberg Variations, BWV988 : Variation 30 - Fretwork

2011年録音のアルバムで、彩り豊かな音色と息の合った美しい演奏が素晴らしい。



チェンバロとピアノは鍵盤楽器という点で似ているが、音を出す仕組みが違うため、音色は全く異なる。

ピアノは弦を叩いて音を出す打楽器。

チェンバロは弦を弾いて音を出す撥弦楽器なので、実は箏や三味線と同じ仲間。

ちなみにオルガンはパイプに風を送って音を出す管楽器なので、リコーダーやフルート、トランペットと同じ仲間。


「ゴルドベルク変奏曲」は本来はチェンバロのための曲だから、音色の似ている箏で演奏するのも意外と合うのでは、と思う。


2022/04/02 23:40

「我は神より離れず」聴き比べ

ブクステフーデのコラール前奏曲「我は神より離れず」BuxWV220、聴いていて、とても落ち着く。素朴で良い曲。


Von Gott will ich nicht lassen,  BuxWV220


われは神より離れず

そは神はわれより離れ給わず

すべての道にて我を導き給う

さもなくばわれは迷う

神はその御手をさしのべ、夕べにも朝にもわれを守り給う。

われいずこにありとも

(Von Gott will ich nicht lassen「我は神より離れず」のコラール歌詞)


「神はその御手をさしのべ、夕べにも朝にもわれを守り給う。われいずこにありとも」という歌詞がすごく良い。

ブクステフーデはとても内省的な旋律で、歌詞の一節一節をかみしめる。

いつか主日礼拝の前奏で弾きたい。



一方、J.S.バッハの「我は神より離れず」BWV658 は、ブクステフーデの素朴な美しさとは全く違った、装飾豊かな美しさ。同じコラールを題材としているとは思えないが、どちらも良い曲。


Von Gott will ich nicht lassen, BWV658 


バッハの曲は、コラール定旋律がペダル(足鍵盤)にあるので、ペダルに16フィートではなく、手鍵盤と同じ4フィートまたは8フィートの音を使ったレジストレーション。

目を瞑って音だけを聞くと、手が3本あるように聞こえる。実際には、テノール声部に定旋律がある曲は、演奏するのがとても難しい。


内省的なコラール歌詞に合わせて、落ち着いた雰囲気で曲が進むが、「神はその御手をさしのべ」という歌詞から、ぐっと曲調が明るくなるところが、とても素晴らしい。

短い曲の中に歌のメッセージが凝縮されている。バッハの絶妙な演出を感じる。


2022/03/25 23:45

プロフィール

ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

NOVEL DAYSで活動中です。
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