日々ログ

南ノさん
南ノさん、さっそく『きものがたり』をお読みいただき、もったいないお言葉をどうもありがとうございます!

伊勢木綿はよく着ているので、今後も写真のなかに登場する予定です^^


「自分で敷居を高くしてしまっている」というのは、まさにおっしゃる通りだとわたしも思います。

この「敷居が高い」イメージの原因である、着物の「格」と呼ばれるドレスコードは、階級社会だった頃の残滓だと感じています。

江戸時代の武家の時代劇を見ると、TPOに合わせた藩主の着装を決める衣紋方という役職の武士がいますよね。


江戸小紋は東京を代表する型染めの伝統技法ですが、もともとは江戸城に勤める武士の通勤服である裃の柄を染めたことに由来します。

裃の柄を各藩ごとに定めて、島津家の鮫、山内家の青海波、前田家の菊菱などの定め柄(留め柄)を見れば、ひと目で誰がどこの所属か分かるようになっていたそうです。

さらには、同じ留め柄でもその柄が細かければ細かいほど身分が高い人物という決まりでした。なので、同じ留め柄の裃を来た人物が複数人いた時、その中で誰が重要人物か、ひと目でわかる仕組みになっていて(相手に名乗らせると不敬なのでしょう)、階級社会ならではのルールだなと思います。


現代において、留袖に次いで格の高い礼装とされる「訪問着」は大正4年に三越が命名して売り出したもので、長い着物の歴史の中では比較的新しい着物なのです。

留袖→訪問着→付け下げ→小紋といった新しい格付けが、日本じゅうのご婦人がたの間に「新しい常識」として浸透したのは、1960年代から70年代以降、わずか50年前ほど前のことだったそうです。


着物の格付けルールは呉服業界の販売戦略とも言われますが、その戦略に消費者が乗っかってきたから、現在があるわけです。

法律で定めた階級が廃止されても、資産や職業などに基づく社会階層は依然として存在するので、何を着てもOKとなっても、自分たちの階層にふさわしい装い=格付けというのを求めてしまうのでしょうね。

ブルデューの「文化資本」の考察が、戦後の日本にも当てはまるのでは、と思います。



2023/10/22 11:56

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