グムンデンの思い出④
オーバーエスターライヒで最も古いカトリック教会の一つ、Pfarrkirche Altmünster(アルトミュンスター教区教会)にも訪れました。



アルトミュンスター教会の歴史は8世紀に建てられた修道院にまでさかのぼるそうです。

1150年頃にロマネスク様式の教会が建てられ、八角形の塔はその当時のまま今も残っています。

15世紀後半にゴシック様式の礼拝堂が塔の隣に建て増しされました。写真を見ると、建材の違いがはっきり分かりますね。



高祭壇はネオゴシック様式、左側の祭壇はバロック様式、説教壇はロココ。

時代の異なる様式が同時に並んでいて、この教会の長い歴史を感じさせますね。



ロマネスク様式のアーチ型のステンドグラスが美しいですね!



塔には四つの窓がありました。



オルガンは19世紀後半の制作だと思われます。



教会の外壁に、修道院時代の壁の一部が保存されていました。

考古学的に貴重そうですね。


グムンデンの思い出③

グムンデン市内のEvangelische Pfarrkirche(福音教区教会)も訪れました。

カトリック教会の祭壇と比べて、プロテスタント教会らしく落ち着いた雰囲気ですね。

ステンドグラスが美しいです!



この教会のオルガンも2階にあります。

オルガンの装飾もシンプルで素朴ですね。パイプがアーチ型に配置されていて、壁のステンドグラスが見えるように設計されているのが見事でした。



オルガンの向こうに見えるステンドグラスが、こちらです。



竪琴を持っている王冠の男性なので、ダビデではないかと思います。

細やかな植物模様が美しいですね。



ちなみに、オルガンの設置されている2階へ上がるには、こんなに狭い階段を登ります。



教会の外観はネオゴシック様式ですね。

プロテスタントであったヴォルフ家の支援で、1871年から1876年までに建造されたそうです。


ザルツカンマーグート地方のほかの町と同じように、グムンデンでも宗教改革と対抗宗教改革(再カトリック化)のせめぎ合いで、この教会が建てられる前には血なまぐさい闘いの歴史があったそうです。

1550年から1624年にはグムンデンに福音派の牧師がいましたが、1599年に教区教会が再カトリック化され、福音派は市壁の外に教会を建てました。1626年、住民はカトリック信仰を公言するか、国を離れるよう求められ、オーバーエスターライヒ農民戦争へと至ります。グムンデン市の門前にある町では2000人以上の人々が反政府側で亡くなり、反乱は鎮圧されました。前回ご紹介した、近くのトラウンキルヒェン修道院をイエズス会が引き継いだのは、この対抗宗教改革の流れです。

1781年、皇帝ヨーゼフ2世が寛容令を出し、プロテスタント信仰を公言しても生きていけるようなり、ハノーバー家が1860年代半ばからグムンデンで亡命生活を送るようになったことで、プロテスタントの信徒が増えていったそうです。


こちらの教会には昼間だけではなく、夜もお邪魔して、翌日のレッスンに向けて練習に励みました。


グムンデンの思い出②

わたしたちはグムンデンの街中から郊外まで、さまざまな教会にお邪魔して、レッスンを受けました。

教会によって、それぞれオルガンが造られた年代や様式、音色など異なり、とても面白かったです。



こちらは、トラウン湖畔にあるPfarrkirche Traunkirchen(トラウンキルヒェン教区教会)の祭壇です。

見てください、このバロック様式の豪華な装飾!!

カトリック教会は、マリアや天使や聖人の像が飾られていて、金ぴかなのが多いですね。


マリア崇拝や聖人崇拝には詳しくないのですが、祭壇画は「聖母戴冠」だと思われます。

鍵を持っている聖人像がペテロ、書物と剣を持っているのがパウロでしょう。



トラウンキルヒェン教会のオルガンは、礼拝堂の2階に設置されています。

1階の会衆席に座って聴くと、オルガンの音が天から降ってくるように感じられます。

ヨーロッパの教会では、このような造りが多いです。

オルガンも天使の像で飾られていますね!



こちらのオルガンでアイ先生とジェームズ先生のレッスンを受け、J.S.バッハのトッカータとフーガ ニ短調 BWV565を弾きました。



教会の外観は、オルト城と同じく丸屋根でした。

壁のフレスコ画に歴史を感じますね。


トラウンキルヒェン教会の歴史は、西暦632年に建てられた修道院までさかのぼるそうです。1327年の火災で焼失した後、ベネディクト会によって再建され、1632年の二度目の火災の後、修道院を引き継いだイエズス会が現在まで残るバロック様式の教会を建てたそうです。1773年に修道院は解散し、教区教会となりました。


グムンデンの思い出①
学生時代に、オルガンの勉強にオーストリアへ行きました。

今回は、このオルガン旅行の思い出を書こうと思います。


わたしは、オーストリア・バロック・アカデミーというサマースクールに参加しました。
アカデミーを主宰するのは、ウィンナー・アカデミーという古楽器オーケストラを率いるオルガニスト、ハーゼルベック先生です。


アカデミーはオーストリア、ザルツカンマーグート地方のGmunden(グムンデン)で行われました。


グムンデンは森と湖に囲まれたリゾート地で、トラウン湖畔にSchloss Ort(オルト城)が建っています。

この白壁とタマネギ屋根の建物に、オルト城の礼拝堂があります。

湖に浮かぶ島に建てられていて、ザルツカンマーグートで最も古い建物の一つです。


遠くから眺めると、湖の上にお城が浮かんでいるように見えます。とても美しいですね。

この湖の城は909年にすでに建っていて、1626年の火災で焼失後、現在の形に再建されたそうです。


湖の城と橋でつながった陸側のお城に、わたしたちアカデミー生が宿泊しました。

バロック・アカデミーでは、名前の通り、古楽奏法を勉強します。

声楽科、弦楽科、通奏低音科といろいろあって、わたしはオルガン科を受講します。

オルガン科は、ドイツ人のエッスル先生、アメリカ人のジェームズ先生、日本人のアイ先生に指導を受けました。

アイ先生は、その当時から現在までイタリアを拠点に活動されています。


声楽、弦楽、チェンバロなどは、オルト城内で講習を受けますが、オルガン科はグムンデン各地の教会をめぐり歩いて講習を受けました。


プロフィール

ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

NOVEL DAYSで活動中です。
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