『賭け』自体はすごく他愛もないことなんだよ。
街の、同じくらいの年ごろの子が何人か集まって、街を見て、
「あそこの店に入っていったおじさんがどのくらいで出てくるか」とか、
「雨上がりの通りを通るあのおばあさんが、水たまりですっ転ぶかどうか」とか。
だけど、それを、お金を賭けてやるんだ。
街の子供には、お金に困っている子も結構いてね。この遊びが、生活費の足しになっていることも、あるんだ。
まあ、でも、こう言っちゃあなんだけど、それは、この国の先代の王時代の話で、王様が扇様になってからは、治安が抜群に良くなって、街の生活も豊かになったんだよ。
それは、俺が、休日に実際に街に出て、見ているから知っていることなんだけれど。
だけど、『賭け事』はすでに遊びの一部になっているからね、この慣習はなかなか消えなさそうだね。