南ノさんとmikaさんの会話を読んで。
思わず「なにを見てもなにかを思い出す」と言いたくなる今日この頃。
南ノさんにはウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』を、ぜひ読んで欲しいです。フォークナーがノーベル賞を獲る要因になった作品だった、というだけでなく、同書でひたすら語られる「サトペン」という人物こそは、中上健次が描いた「浜村龍造」のモデルであり、重い知的障害のある子供が生まれるのもまた、『枯木灘』で出てくる登場人物を想起させます。
mikaさんには、ヘミングウェイの短編『キリマンジャロの雪』を読んだあとに、ブラッドベリのSF短編『キリマンジャロ・マシーン』を読んで欲しいです。『キリマンジャロ・マシーン』は、自動車型タイムマシーンで主人公が自ら命を絶つ直前のヘミングウェイのもとへ未来からやってきます。で、「あなたはこんなところで死ぬのは似合わない」と言って、キリマンジャロまで連れていく、というお話です。
ヘミングウェイには連作短編(とは明言してないのだけれども)『ニック・アダムス物語』と呼ばれている作品群があります。ビルドゥングス・ロマンになっています。ヘミングウェイは、長編より短編の方が文学的強度が高い、と言われるほどで、実は文学の実作の勉強になるのですよね。
……思わず口を挟んでしまいました、すみません。たぶん既知の情報だと思うのですが、語らずにはいられない!!
あー、帰京後すぐに小説修行のためにヘミングウェイ全短編を買って何回も繰り返し全巻読んだあの日々のことを思い出しますよー。