失業したコト
結果的に、失業したんだが、その事実は、お母ちゃんには言えない。
なぜなら、お母ちゃんに言った瞬間、あたしは、会社に対して犯罪行為を犯し(就業規則違反――競合他社の話を酒の席でな――って事実はあるがな)、会社が倒産するかの如く損害を与え、刑事事件に発展するかしないかの瀬戸際的事件を起こした犯罪者に成り下がってしまうから。
この際、事実はどうでもよい。
お母ちゃんの脳内判事が出す判決のみが事実で、脳外の客観的事実は、すべて無効となるのだ。
それを事実に即したところまで修正するには、何年もかけて、ひたすら地道に事実を述べ続けなければならず、そこまでするんなら、別に、犯罪者でもいいよ。
どうせ、お母ちゃんの脳内だけのことだからな。
って、開き直ったが最後、針の筵だ。
面倒くせい。
おうち帰りたくないよー。