日本語の裏側
「うそ!」
って、びっくりした時に、思わず口走って、
「誰が嘘なんか言うか(怒」
と、怒られてた。
さて。
それから、四半世紀ほどたって、
「ほんとですか⁉」
お前には嘘に聞こえるのか? と、自分の心の声がした。
思えば、「うそ!」って口走るのは、お前、嘘言ってんじゃねぇの? って、意味じゃなくて、嘘みたいに信じられない本当の話なのね! っていう、驚愕の喜びが入ってたと思う。まあ、反語みたいなもの? 否定しながら、その意味するところは盛大に肯定しているっていう、ね。
それに、「うそぉ!」って、一度否定された受け側として、「ホント、ほんと! 絶対だってー!」っていう肯定の返しが、その真実感を上乗せした。
顧みて、今使用されている「ほんとに⁉」っていう裏の声が、だましてんじゃないでしょうね! っていう、疑いの色が見えたり見えなかったり。
言われた時の返しとして、「ほんと、ほんと。ほんとだよー」。
色気も感激もなぜかフラット。
そして、天邪鬼を自負するワタクシとしては、「うそでーす」って、本当であったとしても言いたくなってしまう。
まあ、なんだ。
受け取り側のそれぞれの事情があるんだろうけど、日本語の裏側って、いろんな意味を含んでるから、言葉尻だけを見て判断してほしくはないな。と、元上司を口先でほめ倒しながら、にやにやしながらバカにしてた自分をほめてやりたい。
言葉尻をとらえて、悦に入ってた上司も上司だ。