同業他社
和裁についてはいろいろ思うところがあり、同じ思いを共有したいと思うこともあるが、相手が人間であるから、同業だとしても同じことを考えているかといえばそうではないことのほうが多い。
和裁は、日本独特の尺貫法で仕立てられる。
だから、最少単位はmmではなく「分」。つまり一分≒4mm。
そこでミリ単位のこだわりって、意味ある?
一分違う、って、4ミリぐらい違うわけですよ。それは大きな差です。ですがね。1ミリ違うって、最小単位の分のさらに小さな単位、厘でいくと、1厘とかそんな、そんな目に見えないところです。
え? いる? ミリ単位のこだわり。
もちろん、ミリ単位のこだわりが必要な場合があります。
フキの太さです。それと、表と裏のつり合い。特に幅は反物の特性上、伸縮もさほどに大きくないから、手癖という名の直観に頼る。これは、感覚的なもので、あえて表現するなら厘ですがな。感覚を表現しようというところで、ぎりぎり、「厘」の単位が出てくるけど、厘単位で揃えろって言われたら、その時点でどんだけお金を積まれてもお断り案件。
できるわけねーべ。そんなの。
それなのに、ミリ単位で寸法にこだわって仕立ててるよ! それぐらい繊細なお仕事なんだよ!
って、主張されると、微妙になる。
あたしのこだわりは、寸分なんだが。