随想遊戯

(自由詩)

「おまえはもう終わりだ」という声が絶えず聴こえる。

終わらない。

僕はこれからだ。

焦るな。

敵を見定めろ。


「ゆっくり、静かに、僕はおまえを殺す」


過去の亡霊が絡みついてきて身動きがとれなくなる。

絡みつく敵の腕や足を引きはがすように、僕は弾丸を撃つ。

距離をとって、上手く狙え、相手の心臓を一撃で撃ち抜くんだ。


「なにも終わっていないよ。おまえ以外は、ね」


なるほど、ならば終わらせてやるよ。

終わっている僕が終わりにしてやるよ。

僕はこれからだ。

それは僕が決めた。

死んでくれ、僕のために。

今はもう見えない敵を射殺するためにだけ、僕は生きている。

恥ずかしいね、ああ、恥ずかしいさ。

僕をあの日、裏切ったあいつを殺害し抹消することが、

僕の目標だなんてね。

惨めでみすぼらしい、これは愛と恋を殺す詩だ。

2023/01/31 04:30

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