『ブックガイド』に1冊追加
『【ブックガイド】人生は、断片的なものでできている』に、アルベール・カミュの『異邦人』を追加しました。
「ノーベル文学賞を読んでみよう」と題した章の2話目に『異邦人』を新たに挿入しています。
(作品が発表された年代順に並べています)
『異邦人』は言わずと知れた名作で、何を今さらというか、すでにお読みのかたも多いですよね。
とは言え、まだ読んだことがないかたもいると思い、結末は明かさずに書きました。
(わたしの言うネタバレの定義は、勝ち負けの結果とか、主人公の生死などです)
『異邦人』の発表当時から言われている解釈が、ナチスによるフランス占領の比喩ないし寓話というものです。
これ、カミュの『ペスト』に対しても同じことを言われてたんですよね。
『ペスト』はコロナ禍で異例のベストセラーとなって、何十年かぶりに増刷されたと報道されていましたね。
2020年当時、『ペスト』を読んでいた読者は、文字通りの意味で、未知の病気に対して苦闘する人間ドラマとして読んだのであって、「ペスト=ナチス」とか思って読んでいた日本の読者はいないと思われます。
なので、『異邦人』も新しい視点で読んだら何か違うものが見えるんじゃないかと思い、今時の(ポストコロニアルな)読み方であえて書いてみました。
お時間のございます時に、お読みいただけましたらさいわいです。
また、読書ブログ「真空溶媒」の「アルベール・カミュ『異邦人』」(2020/06/21)は、がっつりネタバレ考察記事となっております。
記事の日付が2020年6月ですが、初稿を書いたのがその年でして、体裁ををととのえてブログに公開したのは本日です。
ブログ記事のほうでは、フランス語辞典を引っ張り出してきて、原題のétrangèrの意味は何か? といった内容について、マニアックに書いています。