日々ログ

術後の話①

13時に手術室へ入り、自分の病室へ戻ってきたのは18時半頃でした。

酸素マスクと点滴をしていて、意識はありましたが、まだ半分眠っているような状態でした。

看護師さんが「もうすぐ旦那さんが来ますからね」と声をかけてくれて、一瞬、夫が手を握ってくれたのが分かりました。


このときのわたしは、自分では目が覚めているつもりでしたが、夫から見ると、あまりに朦朧としていて、握り返す力も弱々しかったそうです。


夫は入退院の日と手術の日に休みをとって付き添ってくれたのでした。

手術が始まる1時間程から、夫は待機場所(病棟のラウンジ)でひたすら窓の外を眺めていたそうです。

時折、看護師さんが手術の経過を伝えに来たのだとか。

手術が終わった後に、外科の先生から詳しい説明を受けたそうです。

約7時間ほどラウンジで待って、ようやく顔を合わせることができたのでした。


感染症対策のため、家族でも基本的に病室には入室できず、病室での面会が許されたのはこのときだけでした。

ほとんど会えなかったのに、ずっと付き添ってくれた夫に感謝の気持ちでいっぱいです。


意識が戻ってから、まだ痛みはなく、のどの渇きだけがありました。

看護師さんに何か飲みたいとお願いすると、「まだダメですからねー」と言って、濡らしたガーゼでくちびるを湿らせてくれました。

目が覚めている気になっているだけで、実際には麻酔が抜けきっていないので、水を飲むとむせたりする恐れがあるため、飲水禁止なのでしょう。


本当にはっきり目が覚めて、水を飲む許可がでたのが22時半頃。

OS-1がめちゃくちゃおいしかったです。

自発呼吸が十分に戻ってきていたので、酸素マスクも外してもらいました。




術後1日目、痛みはありませんでしたが、吐き気に苦しめられました。

手術当日から翌朝まで絶食し、すっごくお腹が空いているのに、せっかく食べたお粥をほとんど吐いてしまい、つらかったです。

この吐き気は、点滴で入れているお薬(抗生剤と痛み止め)の副作用とのことでした。

午後になって看護師さんと一緒に立つ練習をし、ベッドから降りてほんの数歩の距離ですが、自分で歩いてトイレまで行くリハビリをしました。

自分で歩いてトイレまで行けるようになると、尿道カテーテルを抜いてもらえました。

自分でトイレに行けるって大事です。大げさな言い方かもしれませんが、人間としての尊厳が回復したような気になります。



術後2日目、点滴のお薬が終わり、内服薬の痛み止めに変わりました。

1日日に苦しめられた吐き気が嘘のように消えて、しっかり食事をとれるようになりましたが、今まで感じなかった痛みが出てきました。

日中にシャワー浴の許可が出て、術後初めてシャワーを浴びましたが、右足を少し上げようとすると、とんでもなく痛いのです。

パジャマを脱ぎ、シャワーを浴びて、下着を着がえて、再びパジャマを着て、髪を乾かすという日常の何気ない動作が、そのときのわたしには超大仕事でした。


手術部位が右卵巣と右鼠径部なので、右わき腹から下腹部、右足のつけ根にかけて痛むようでした。

お腹を壊したときや筋肉痛、月経痛とも違う、今まで一度も感じたことのない、からだの深い場所で痛みを感じました。

痛み止めを服用した上で、こんなに痛いのかとショックでした。

このときばかりは、もう足鍵盤のあるオルガン曲は弾けないかも……と弱気になっていました。



2日目の夕食後に婦人科の先生の診察があり、術後初めて透明なテープをはがして、自分の傷口を見ました。

傷口から出血したり、化膿したりということが無く、お腹の中に水が溜まっていたりすることもなかったそうで、術後3日目に退院する許可がでました!


2日目の夜中、咳きこんで目が覚めることが何度もあり、よく眠れませんでした。

これほど感染症対策をしている病棟にいて、風邪や何らかのウィルスとは思えず、なぜこれほど咳がひどいのか不思議でした。


術後3日目に夫が迎えに来てくれて、次回の外来診察の日などを約束し、退院しました。

退院当日の夜、自宅で寝ているときも咳がひどくて、なかなか寝つけません。

この咳は何なのか、加湿した方がいいのかと部屋の湿度計を見ると、特に乾燥しているわけではありません。


退院翌日に、手元の病状説明書をあれこれ読み返しながら、この咳の原因を考えてみました。

手術の前日、婦人科の先生と外科の先生と麻酔科の先生からそれぞれ説明を受け、手術に関連するたくさんの同意書に署名していたのです。

そのとき、麻酔科の先生が「風邪をひいたみたいにのどが痛くなりますが、いずれ治ります」と言っていたことを思い出しました。

これか!!

麻酔の説明書を読むと、「命には別状のない合併症」の項に「のどの痛みや声がかすれる」と確かに書いてありました。


全身麻酔で不可欠な気管挿管の影響でのどが痛くなるのだそうです。

のど風邪のような症状(咳、のどの痛み、声のかすれ)は、術後1週間経つ頃には自然に消えていました。




退院翌日は何もせず、自宅でゆっくり過ごしました。

退院翌々日(術後5日目)、デスクワークならできるだろうと思い、仕事を再開。

それが、ただイスに座ってデスクに向かっているだけで、右足が耐え難いほど痛くなってくるのです。

なぜか右足のつけ根だけでなく、右ひざが熱くなり、右ふくらはぎまでつりそうになります。


ふとももに力が入らないから、不自然に膝やふくらはぎの筋肉に力を入れることなって、連動して痛みが出るのでしょうね。

ただ座って、上体を起こした姿勢でいるだけでも、わたしたちは無意識にたくさんの筋肉を使って、バランスをとっているのだなぁと思いました。


1日3回痛み止めを内服していても、術後8日目頃までは痛みが強くて、2時間集中してデスクワークし、疲れを感じたら足を伸ばして休み、またデスクワークをするというように工夫し、日に4~5時間程度仕事をしていました。


術後2週間を過ぎると、足のつけねの痛みがだいぶ軽減し、歩行や階段の昇り降りもゆっくりとなら問題なくできるようになり、自分でも回復を感じてうれしかったです。

現在は、下腹部やわき腹の奥で痛みを感じるときだけ、その都度、痛み止めを服用するようにしています。


術後2週間が経って、退院後最初の外来診察に行ってきました。

大学病院の帰りに薬局に行き、ついでに郵便局とスーパーにも足を伸ばして、退院後では一番長い距離を歩き回って疲れたせいか、最近ではめったになかったほどの痛みが出てきて、帰る頃にはもう一歩も歩けないというほどの疲労困憊でした。


いやー、回復したからと油断して疲れすぎると、これほど痛みがぶり返すのだと痛感したので、日々の生活でもなるべく疲れをためないよう注意しなければ、と思いました。


2022/11/13 20:33

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