日々ログ

成瀬川さん

『成瀬川るるせ短編手帖』第92話、刺激的なテーマを取り上げておられて、とても面白く拝読しました!


成瀬川さんはフーコーをお読みになっているから、フェミニズム理論にも興味を持たれた感じでしょうか?

クィア理論と言うと、ジュディス・バトラーなどが有名ですよね。

アドリエンヌ・リッチの「強制的異性愛」と「レズビアン連続体」という用語も興味深いなぁと思っています。(言い得て妙と言うか、パワーワードですよね)


リッチのような、シスターフッド的な理想を掲げるレズビアン・フェミニストの論者がいる一方で、成瀬川さんが本文中で書いておられるような、「反フェミニスト」に見える当事者たちがいるのは事実ですよね。

SM・ポルノVSコミュニティ論争と言われて、フェミニズムでは昔から議論されてきたテーマですね。

当事者の数だけ考え方の違いがあるので、LGBTQとひとくくりに語るのは無理があるなと思っています。


「オタク的記号だけで拒絶反応を起こすひと」というのは実際おられますが、多くの場合、単に絵柄の好みの問題だったりしますよね。

カバネル の「ヴィーナスの誕生」やマネの「オランピア」は芸術に分類されますが、あれらがOKで、現代日本のポルノイラストがなぜダメなのかを理論的に説明するのは、困難を極めると思います。


ポルノアニメを規制すべきかどうかというテーマは、わたしも以前考えたことがありますよ。

生身の人間が演じるポルノと違い、現実に加害者も被害者もいないポルノアニメの場合は、フェミニズム(被写体の人権)の問題ではなく、自由の問題(観る自由、愚行権)なのかなとわたしは思っています。

アメリカでは、コムストック法というポルノ雑誌規制法があった時代がありました。当時は産婦人科の医学書も「猥雑物」とみなされ、規制されて違反すると処罰される対象でした。

コムストック法の背景には、「性的不品行や不道徳を排して、健康で道徳的な国民を育てるべき」といった、国家的パターナリズムがあると言えますね。

同様に、売春や同性愛を法律で規制すべきかどうかを議論した、イギリスの哲学者ハートと裁判官デヴリンの論争も有名ですね。

都の有害図書条例も意図するところは同じなので、モラル(私的な道徳/不道徳)の問題にどこまで国家が干渉するのかは、パターナリズムと自由のせめぎあいだなと思います。


2024/06/05 00:26

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ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

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