活動報告

「バイブル・スタディ・コーヒー」更新しました

NOVEL DAYSで連載中の「バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門」を約1年半ぶりに更新しました。

最新話のテーマは、「ヤコブの子供たち」です。


ヤコブがラケルとレアをめとった話のつづきとなります。

今回の話のために、ヤコブ・ファミリーの人物関係図(家系図)を作成したのですが、なんと妻が4人、息子が12人、娘が1人という大家族なので、1枚の画像にまとめるのに苦心しました。

このヤコブの12人の息子たちが、やがてイスラエル十二部族の祖となっていくというストーリーです。

お時間のありますときに見ていただけましたら、さいわいです。



二人の妻が競い合うように次々と子供を産んでいき、死にもの狂いの争いを繰り広げる話は、わたしも女性ですので、読んでいて辛いものがあります。

息子を産むたびに「今度こそ……」「今度こそ……」と夫の愛を求めるレアの姿が痛ましいです。


ラケルだって、夫から一心に愛されているのだから、それで満足すればいいのではと思うのですが、こう言えるのも現代社会だからなのでしょうね。

古代社会にあっては、いくら夫の愛があっても子供がいなければ意味がなく、「わたしは死にます」と言うほど思いつめるものなのでしょう。



アフリカ諸国に関する最新の研究によると、一夫多妻制下における妻同士の競争関係が出生率上昇につながり得ることが明らかになっているそうです。(2019年の論文)


一夫多妻制と出生率との関係は、人口学においても人類学においても、さまざまな議論がされてきました。

これまでの定説は、

定説1:妻同士のライバル関係が出生率上昇をもたらす(合理的選択)

定説2:複数の妻がいる場合、一人の妻に対して夫との性交渉の頻度が自然と少なくなるため、出生率低下につながる(自然効果)

定説3:女性のエンパワメント(女性が教育を受け、性と生殖に関する知識や意思決定権を持つこと)が出生率低下につながる


定説1と定説2は矛盾していますが、どちらも的を得ていますよね。

今回の話で言えば、レアとラケルのライバル関係(定説1)が当てはまります。

レアは夫ヤコブから嫌われていたので、夫と共寝する頻度がラケルと比べて極端に少ないはずです。

そのため自然効果(定説2)によりレアの方が産む子供の数が少なくなるというのが人口学の論理ですが、実際にはレアの方が子供をたくさん産んでいますね。

これが自然ではあり得ないことなので、神のお計らい、奇跡、祝福と言えるわけです。


また一般的に、途上国の女性がエンパワメントすれば少子化になると考えられてきましたが、実はそうでもないと言うことが、最新の研究では分かってきたそうです。

一夫一婦関係にある女性の完結出生児数と一夫多妻制下にある女性の完結出生児数を比較すると、約30年前は一夫多妻制下の方が少ない(定説2が当てはまる)ですが、この30年の間に数字が逆転し、現在は一夫多妻制下の女性の方が完結出生児数が多くなっているのだとか。


一夫多妻制下では、女性の教育水準が高く妊娠と出産に関する知識や意思決定権が強いほど、妻同士の競争関係が良い意味で作用し、出生率上昇につながる結果になっているそうです。

つまり、性と生殖に関する意思決定権が夫にある場合は、一夫多妻制下においても、自然効果によって少子化になるということです。(30年前の数字が裏付け)


今回の話で言うと、もし神がレアを顧みなかったとしたら、ヤコブが愛したラケルはもともと妊娠しにくい体質だったわけですから、一人も子供が生まれなかったという可能性も十分あり得るわけですね。

うーん、興味深いですね。


参照:

日本貿易振興機構アジア経済研究所『IDE スクエアー途上国研究の最先端』(2020年)より


2024/01/22 22:01

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ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

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