"The Sustainable Development Goals"講義ノート

Week 2:The Anthropocene ①
The Anthropocene(人新世)

(Katherine Richardson教授の講義要点)


SDGsの目標13、14、15の三つは、私たちが地球上で維持したい環境のあり方を直接的に扱っている。そこで、人間と環境との関わりについて考えてみよう。


私たちは「人新世(アントロポセン)」に生きているとよく言われる。人間の活動が地球上のオゾン層に影響を与えていることを発見し、ノーベル賞を受賞した3人の化学者の一人であるパウル・クルッツェン氏が2000年代初頭に提唱した言葉である。

地質学者は、地球の歴史上の各時代に、その時代に蓄積された地層の特徴に基づいて名前を付けている。クルッツェン氏が「人新世」と主張したのは、現在堆積している地層が、数百年前に堆積した地層と明確に区別できるほど、人間活動の強いシグナルを含んでおり、現在を新しい地質段階あるいは地球史の一時代と見なすに十分である、ということであった。

私たちが生きている時代の正式な名称を変更すかどうか、地質学者たちはまだ審議中であるが、その結論がどうであれ、プラスチック、セメント、合成繊維など、地球にとって新しい化学物質や材料が地球の地層に残っていることは間違いない。

また、地球上には野生動物よりも家畜化された動物の方がはるかに多く、家畜化された動物でさえも時代とともに変化しているため、最終的に化石記録となるものには人間活動のシグナルがはっきりと現れるだろう。


現代人は20〜30万年前に出現し、その間に活動した痕跡を化石記録に残してきた。しかし、この100年ほどの間に、地球規模での人間活動のシグナルが強くなっている。

1750年から2010年までの期間における人間活動の様々な指標を見ると、世界人口、GDP、海外投資、都市に住む人々、エネルギーや肥料の使用、河川の堰き止め、淡水の使用、紙の生産、輸送、通信、国際観光など、いずれも1950年代頃から急激に増加している。この時期は "大加速度期 "と呼ばれている。


この大加速は、地球レベルのシステムの状態を表すさまざまな指標に反映されている。温室効果ガス、CO2、メタン、笑気ガス、オゾン層の破壊、地表付近の温度、海の酸性化、海産魚の捕獲、東南アジアでのエビの養殖、沿岸海域への活性窒素の投入による酸素欠乏、熱帯林の伐採、自然生態系の農地化、陸域の生物多様性の損失、などなど。


注意深く研究することで、地球システムの特徴に記録されたシグナルの変化が、人間活動に大きく起因していることが分かってきた。

こうした研究により、科学者たちは、地球は物理的、化学的、生物学的、そして人間的な要素が相互作用することで構成される自己完結型のシステムであると認識するに至った。

そして、これらの相互作用の総和が、地球全体の状態や環境条件を決定している。


地球システムにおける人間の活動が、惑星レベルにまで影響を及ぼすという事実は、気候変動に関する科学的な理解が進むにつれて、初めて広く認識されるようになった。

気候とは、ある地点の平均的な天候のことである。

気候は、地表付近に蓄えられた熱の量と、その熱が地球をどのように移動するか、また、地表付近や地球上に存在する水との相互作用によって制御されている。

地表付近に蓄えられる熱量は、太陽エネルギーが地表に到達する量と、その熱が地球から宇宙へ放射される量の関数である。

気候変動は、この地表の熱の出入りのバランスが変化することによって起こる


このバランスにはさまざまな要因が影響するが、最も重要な要因の一つは、大気中の温室効果ガスと呼ばれるものの濃度である。

温室効果ガスには、メタンや亜酸化窒素(笑気ガス)など、人間の活動によって発生するものも含まれる。

これらの温室効果ガスは、地表から出る熱を吸収して、地球の近くに閉じ込めている。

この温室効果は、1800年代初頭から知られていた。温室効果がなければ、地球は今よりもずっと寒くなっていたはずだ。

氷床コアのデータから、地球の歴史を通じて、温室効果ガスと気温の間には明確な関係があることが明らかになっている。

大気中の温室効果ガスが多いほど気温は高くなり、その逆もまた然りである


2022/05/04 15:07

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