歯と心臓
右下の親知らずを抜歯することになり、かかりつけの歯科医院の紹介で大学病院の口腔外科に行ってきました。
親知らずの抜歯で大学病院ってどゆこと!?
歯の頭が歯ぐきの中に埋まっていて外に出ていない水平埋伏智歯なのだそうです。
レントゲン写真を見ると、親知らずが横に倒れるように生えていて、並んでいる隣の歯を押しているのが分かりました。
歯が生えるスペースがないと、このような症状になりやすいのだとか。
あごの中の神経に歯根が接触しているため、抜歯することで麻痺が残るリスクがあるそうです。
そのため、2回法抜歯という手術を選択しました。
1回目に歯冠を除去し、歯根が動いたのを観察(一般的に2~12カ月)し、2回目の手術で歯根を抜歯するそうです。
口腔外科の担当医師から、思いがけない説明を受けました。
ここから今回の本題です。
抜歯後に感染性心内膜炎という心臓の病気になるリスクがある。
親知らずを抜いたせいで、心臓病になって死ぬかもしれないなんて、信じられませんよね!?
わたしは現在、とある遺伝性の病気(指定難病のひとつ)により大学病院に定期受診しています。
この病気の合併症として、心臓弁膜症や脳動脈瘤などのリスクがあります。
早期発見が大切なので、つい最近も心臓エコー検査をしたばかり。
弁膜症というのは、心臓に血液を出し入れする弁が誤作動して、血液が逆流したりする病気です。
もし抜歯後の傷口から血液に細菌が紛れ込み、弁を含む心内膜に感染が起これば、命の危険があるのだそうです。
口腔外科の担当医師は、わたしの内科の主治医にコンサルした上で、親知らずの手術をすると言っていました。
必要であれば、予防措置として抜歯手術前にあらかじめ抗生剤を点滴しておくのだとか。
最近では、院内のどこの診療科を受診しても電子カルテで情報共有されていますよね。
診療記録や検査画像を横断的に見ることができるというのは、検査の重複などの無駄を省くことができるので有益だなと感じます。
わたしは現在、内科と婦人科と外科に通っていて、年内中に手術も決まっています。
これからさらに口腔外科が追加されるなんて、正直なところうんざりでした。
とは言え、情報共有システムのおかげで、口腔外科の担当医師が内科の診療記録を見ることができて、リスクヘッジできるというのは、ありがたいことだなぁと思いました。
感染性心内膜炎について説明を受けて、わたしはひとつ思い出したことがあります。
わたしの友人、清見さん(仮名)は数年前に心臓の手術をしました。
その手術に至った原因が、まさに親知らずの抜歯だったのです。
最初、清見さんには、全身のだるさや倦怠感などの自覚症状がありました。
その時点では、心臓病だなんて誰も思わなかったので、心療内科を受診し、精神的な症状であると診断され、抗うつ剤を処方されていました。
症状はどんどん悪化していき、原因不明の発熱がつづくようになり、ついには起き上がることもできなくなります。
心療内科では発熱の原因を特定できず、大きな病院に紹介されて、ようやく原因を突き止めたときには、手遅れになる直前だったそうです。
清見さんは、それまで自分が弁膜症だと知らずにいたため、ごく一般的な歯科医院で抜歯した結果、感染性心内膜炎になってしまったのです。
自分のからだの状態を理解しておく、というのは大事なことだなと思います。
とは言え、大きな病気というのは無自覚のうちに進行し、自覚症状が出たときにはもう手遅れというケースがいかに多いことか……。
沈黙の臓器が多すぎる! と叫びたくなりますね。
もうひとつ言えることは、精神的な症状なのか、身体的な症状なのか、見極めるのは難しいということです。
個人的な意見ですが、初診で血液検査をしてくれる心療内科・精神科を選びましょう。
慢性的なだるさや疲労感、起き上がれないなどの症状があって、精神的な投薬治療でも何ら改善が見られないときは、ぜひとも別の病気を疑ってみてくださいね。