日々ログ

老病猫ホーム

最近、叔母から相談を受けて、有料老猫ホームの存在を知りました。


有料老人ホームではなく、有料老猫ホームってなに?


叔母は今、二頭の猫さんと一緒にひとりで暮らしています。

夫はすでに亡くなっていて、子どもはいません。

姪であるわたしが唯一の相続人、叔母に何かあった時にすべての面倒をみる約束になっています。


その叔母が「自分が死んだら、猫たちはどうなるのか」ということを非常に心配して、思い悩んでいます。

叔母が急にそんなことを言い出したのは、わたしの母(叔母にとっては姉)の急死がきっかけです。


わたしの亡母は、遺伝性の病気が原因で腎不全となり、50歳から人工透析療法を受けていました。

この病気には心臓弁膜症と脳動脈瘤の合併症があります。

母は心臓の手術を乗り越え、脳の方も早期治療とリハビリのおかげで、支障なく日常生活ができるほど回復していました。

この遺伝性の病気とは別に、母の場合は40代の頃に乳がんの手術も受けていました。

本当に病気と闘い続けた人生だったと思います。


叔母も母と同じ遺伝性の病気が原因で、人工透析療法を受けています。

今年になって、わたし自身も母と叔母と同じ遺伝性の病気を発症していると分かりました。

なので、叔母が母の急死にすごくショックを受けて、「自分もいつ死ぬか」と不安になる気持ちはよく分かります。


もちろん、叔母の一番の願いは、自分が責任を持って最後まで猫たちの面倒をみることです。

しかし、叔母が入院するなどして、猫たちの世話ができなくなる事態というのは、突然訪れる可能性があります。

万が一のことを考えて、あらかじめ準備しておくというのは、悪いことではないと思います。


叔母が考えたのは、終生飼養(終生あずかり)をしてくれる有料老病猫ホームに費用を支払ってお願いするという案です。

今回、わたしも初めて知ったのですが、有料老人ホームのように、有料の老猫・老犬ホームというのがあります。

そのなかでも、特別なケアを必要とする猫を受け入れてくれる、老病猫ホームというのがあるのです。

資料を取り寄せたところ、入居時の費用が100万~200万ほどかかるそうです。

わたしは今まで一度も猫を飼ったことがないので、この金額が正当な対価なのか(あるいは安すぎるのか高すぎるのか)全く分かりません。



そこで、老病猫ホームにアポをとり、施設を見学させてもらえることになりました。

夫に運転してもらって教えられた住所に向かうと、自然に囲まれた郊外の住宅地の一角にある、ごく普通の一軒家でした。

大きな看板などもないので、職員さんが出迎えてくれなければ、素通りしてしまいそうです。

(落ち着いた環境で猫たちが暮らすことを目的とする施設なので、猫カフェのように一般公開していません)


実際に猫たちの暮らしぶりを見て、館長さんと職員さんから詳しいお話をお聞きし、ホームに入居するということの具体的なイメージが持てるようになりました。


まず、猫たちにはそれぞれの個室(床から天井までの縦長ケージ)があります。

足が悪いため、縦長ではなく横長のケージで暮らしている猫さんもいます。

ケージの扉は常時開放されていて、ケージ内でじっとしている猫さんもいれば、自由に歩き回ったり、お昼寝している猫さんたちもいました。

(じっとしていたのは、わたしたち見知らぬ人間が来たことで、警戒していたからかもしれませんね)

常駐するスタッフは、館長さんと職員さんの二人だけで、施設内の掃除・食器洗い・消毒などを手伝ってくれるボランティアスタッフさんが日替わりで来られるそうです。



わたしから館長さんたちに質問したことは、健康管理(主に食事)についてです。

叔母の猫たちは、獣医師さんの処方により、ヒルズ社の特別療法食を与えているそうなのです。

食物アレルギー(食物不耐性)対応の療法食でなければ、下痢がつづくのだとか。

ただ、この特別療法食なるものは、動物病院から買わなければいけないので、はっきり言ってお高いです。

叔母が心配していたのは、そんなお金のかかる食事をホーム入居後も与え続けてくれるかどうか、ということでした。



このホームを運営する団体は、飼い主のいない猫の保護と里親探しの活動を行っている認定NPOです。

譲渡につながりやすいのは、若くて健康な猫たち。

一方で、野良生活や飼育放棄の現場から保護されるのは、病気や障がいなどのハンディを背負った猫たちが多い。


そういった活動の積み重ねから、一時的なシェルターだけでなく、高齢の猫や病気の猫の終生飼養を目的とするホームができたのだそうです。

そのため、有料の「終生あずかり」で入居している猫というのは思っていたよりも少なく、里親を探している猫たちがほとんどでした。


わたしも見学して初めて知ったのですが、このホームではFIV(猫エイズ)キャリアの猫たちも同じ屋根の下で暮らしていて、キャリアの猫たちと、ノンキャリアの猫たちは、居住区を完全に分けて生活していました。


近年、団体の活動に賛同してくれる獣医師さんが見つかり、直営の診療所(スペイクリニック)の開設まで至ったのだそうです。

レスキュー対応も行うシェルター付き保護猫医療施設なのだとか。


ホームにも、獣医師さんと動物看護師さんが定期往診してくれるとのことで、入居後も継続した栄養指導や必要に応じた治療が受けられるというお話を聞き、叔母さんが心配していた食事問題はおまかせして大丈夫そうです。


そしてもし入居するとなれば、スムーズに治療の引継ぎができるよう、かかりつけ医から紹介状(診療情報提供書)を出してもらう必要があるということを教えてもらいました。




今回、老病猫ホームの見学をさせてもらい、館長さんと職員さんからお話をお聞きし、学ぶことがたくさんありました。

資料に提示されていた100万円という入居費は、決して高いものではないと感じます。

館長さんは、わたしと同世代(わたしよりちょっと年上)のかたで、労働時間を考えると、対価が見合わないのでは、思ってしまいました。

こういうボランティアのかたちもあるのだな、と初めて知ることばかりでした。


そして、わたし自身、もっと叔母と話をして、猫たちについて情報共有する必要があるな、と思いました。

これは叔母が元気なうちでなければ、できないことです。


もし母と同じように、叔母の容態が急変する事態になったら、わたしが猫たちの一時あずかりをすることになるはずです。

(さいわいにも、今年引っ越したマンションはペット可だそうです)

特別療法食を与えていることも、今回話し合って初めて知ったので、もし知らないままだったら、悪気なく市販のフードを与えて、猫たちの健康状態を悪化させていたに違いありません。

叔母の猫たちのかかりつけ医がどこなのかも、いずれ聞いておかなければいけないですね。


叔母には、母よりも長生きしてほしいと願っています。

「自分が死んだら」とばかり思いつめていないで、前向きになってほしいです。


2022/11/27 21:55

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ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

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