オーストリア旅行

グムンデンの思い出⑤
ルッツェンモースのプロテスタント教会、Evangelische Pfarrkirche Rutzenmoos(福音教区教会)では、エッスル先生のレッスンを受けました。



ルッツェンモースのオルガンは、1986年制作の新しいオルガンでしたが、様式は北ドイツ楽派のバロック・オルガンだと思われます。



レッスンの曲目は、トッカータとフーガ ニ短調 BWV565でしたが、エッスル先生は以前に指導を受けたアイ先生と異なる作品解釈をされており、何か言われる都度、修正しながら弾いていきました。


オルガンの鍵盤はふつう二段あるので、一段に大きめの音色、もう一段に柔らかめの音色を入れることが出来ます。それを利用し、あるフレーズを弾くときに、アイ先生は鍵盤を交互に入れ替えてエコー(こだま)のような効果を出そう、と言われました。

一方、同じフレーズをエッスル先生は、小さい音から大きい音に途中で鍵盤交代して、クレッシェンド効果を出そう、と言われるのです。

するとレッスンの途中にもかかわらず、近くで見ていたアイ先生が、エッスル先生に対して解釈の違いの理由を意見を戦わせ始め、互いにゆずらず、わたしはどちらの指導を聞けばいいのか混乱しました。

今思えば、プロのオルガニスト同士の作品解釈の一端を垣間見ることが出来、とても貴重な経験でした。


このあと、アイ先生は、「先生によって違うことを言われて混乱するだろうけど、全部を取り入れる必要はないから、いろいろなアドバイスを受けて、最終的には自分の音楽を作りなさい」と言ってくださいました。



教会の内部は、檜材の丸天井が素朴で落ち着いた雰囲気です。

光あふれていますね。



教会は1783年に建てられ、塔と礼拝堂が19世紀後半に建て増しされたそうです。


ちなみにエッスル先生は、即興演奏の名手なのです!!

アカデミー期間中に、エッスル先生のオルガンコンサートがアルトミュンスター教会で開かれ、初めて聴いてすごくびっくりしました!

スクリーンに古いモノクロのサイレント映画を上映して、その映画に合わせて、オルガンを即興演奏するというチャレンジングなコンサートです。鍵盤を弾きつつ、ストップを動かして音色を変えつつ、シンバルや太鼓などの効果音を鳴らすという、エッスル先生の超人的な即興演奏に感動しました。


別の日に、エッスル先生の即興演奏の講義も受けました。いきなり「今日はドリア風で弾いてみよう」などと言われ、今では教会旋法の一つにドリア旋法と呼ばれる音階があると知っていますが、当時は意味が分かりませんでしたね。


2022/01/08 14:00

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ロシア文学が大好きです。 2012年2月からロシア語を勉強しています。

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