活動報告

功利主義と自由主義
こちらに書き込むのが遅くなりましたが、『有機交流電燈 ダイアローグ』に功利主義と自由主義をテーマに2話追加しました。

功利主義(哲学的急進主義の道)

自由主義(他者危害防止の原理)


話数が増えてきたので、『有機交流電燈 ダイアローグ』に章題を追加して、テーマごとに記事を並べ替えてみたところ、【「哲学」がわかる!】と題した章に、ラ・メトリの1話しかないのはさびしいなと思いまして、ベンサムとミルの話を取り急ぎ追加した次第です。


ベンサムとミルは祖父と孫くらいの年齢差があるんですね。

ベンサムが議会改革運動の提唱者になったのは、彼が60歳のときにジェイムズ・ミル(ジョン・スチュアート・ミルの父)と出会い、友人となったことが理由だと言われています。

このジェイムズ・ミルはジャーナリストでした。

ジェイムズはベンサムの学説の支持者となり、親友づきあいするようになった彼の説得によって、ベンサムは議会改革の必要性を理解し、政治的急進主義に転回したのだそうです。

ベンサムは84歳で亡くなりますが、そのときジョン・スチュアート・ミルは20代半ばの若さでした。

若きミルはベンサム派の貴公子と言われていたそうです。



そんなミルの『自由論』や『功利主義論』は大変読みやすい哲学書です。

本当に哲学書なのかな? と疑問に思うほど、ときに口が悪いんですね。

功利主義批判に対して、歯に衣着せぬ反論パンチを繰り出してます。

ミルの『功利主義論』から少し引用しますと、



「功利という用語を快楽と対立する狭い、単なる俗語的な意味で使っていると思い込んでいる無知な誤解については、ひとこと触れておけば十分である。(中略)こんな馬鹿馬鹿しい誤解を抱きかねない連中と混同されかけただけでも、釈明して然るべきだろう。(中略)何もかも快楽に、それもいちばん下品な快楽に関連させるという非難が、もう一つのありふれた功利主義攻撃であることを考えると、この誤解はいよいよ奇怪きわまるものである。」


「新聞や雑誌だけでなく、重厚でもったいぶった書物の中でも、たえずこの種の浅薄な誤解に陥っている。功利主義的という語を見たとたんに、それについては発音以外に何も知らないくせに、美とか装飾とか娯楽といった種類の快楽を拒絶し無視することが功利主義的だとこの連中は言いふらすのである。」



引用おわり。

いやあ、ヒップホップのラップバトルみたいですね!  熱いです!!

ミルは後の世に多大な影響を与えているんですよね。

「ディストピア」という言葉を生み出したのもそうですし、のちの社会主義や、現代のリバタリアニズムのルーツでもあります。

それも、彼の本の読みやすさからきているのかなあと思ったりします。

使っている用語がシンプルで、伝えたい内容がわかりやすいんですよね。


現代の哲学者ハートが、ミルの自由原理を「曖昧で開かれた構造」と評していました。(ハート「功利主義と自然権」より)

シンプルな理論というのは、「曖昧」だと批判することもできますが、その分、いろいろな場面で応用できるわけです。

「曖昧」かつ「開かれた構造」だから、100年以上経っても通用する基本中の基本原理として、残っているのかなと思います。


2024/06/15 13:31

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