摺り友禅の半衿
第3回三題噺バトル参加として、「夏を染めて」を公開しました。
お題は「浴衣、足跡、ベース」だそうです。
今回、摺り友禅で半衿をつくるお話を書きました。
京都の摺り友禅師さんからご指導いただき、実際に半衿を染めた体験をもとに書いています。
こちらが完成した品です。

白い正絹の半衿生地に、鈴の型紙を使って染めました。
鈴は「鈴なり」から吉祥文様のひとつで、季節を問わず使えるので重宝するかなと思い、選びました。

お話のなかで書いた通り、丸刷毛と型紙は染料の色によって使い分けるので、青い鈴と緑の鈴は別々の型紙で染めています。
この鈴の柄のほかに、梅の花柄の半衿と朝顔の花柄の半衿をつくりました。
伝統的な友禅染めには、手描き染めと型染めがあるそうです。
手描き友禅(本友禅とも呼ばれる)は、模様の輪郭を糊で描いて、その中に筆で色を挿したもの。
摺り友禅(型染め)は、丸刷毛に染料を付けて、型紙の上で回転させながら染めていきます。
実際に体験してみて、職人さんの手仕事の一端を垣間見ることができ、尊敬の念をおぼえました。
摺り友禅は熟練の技術と根気が必要で、高価な品が多いのにも納得でした。
デジタルプリント技術の進歩により、本物の友禅は今では本当に希少な技術になりつつあり、これからますます本物を目にする機会が無くなるだろうなと思います。