乳がん

乳癌に限らず子宮癌・胃がん・大腸癌。
まあなんでもとにかく検診にいってくださいね。
早く見つけることがどんな病気でも大切なんですよ。というのを毎回、文頭か文末につけてしまう「検査にいってくれおばさん」です。

癌ってけっこう人それぞれで、見つかりかたも人それぞれだったりするね。

私の乳癌の発覚は自覚した胸のしこりでした。

「なんかここにある」ってある日気づいた。左胸につるっとした固いものがある。触るとむにゅっと逃げて滑ってく感触の固いもの。
その前に集団検診して胸の写真撮ったりマンモしたりしてるんですよね。
そのときには「異常ナシ」だったの。

なのでこのしこりは集団検診のときにはなかったか、もしくは見逃されたってことなのかなあと思い、ただ、自覚できるくらい日々「大きくなってきているような」だったんですよ。
ので念のため個人病院にいきました。
ここでも検査して、エコーしてもらって、触診して「しこりはあるけど、良性腫瘍で心配ないよ」という診断がおりました。

胸の腫瘍やしこりには悪性と良性があるのです。
しこりがあるから即、癌だーってことにはならないのよね。

一般的に悪性=癌は石みたいに固くて動かないらしい。
良性はグミみたいな感じのふにゃっとした感覚で触ると滑って逃げてくつるっとした感じの触り心地らしい。

私のはグミっぽかったし、超音波で見た形も「典型的な良性の形だよ」と(つるっとして綺麗な形)言われました。
だから放置しててもいいよ、と。念のためにガン細胞検査してもいいしって、その判断は私に委ねられた。検査したらお高いお金がかかりますよ的な、ね。

ただ先生に「集団検診のときにはなかったし、一気に大きくなってて、気づいてからもどんどん大きくなってる感じするんですよねー」と私が言ったことで先生がちょっとだけ考え込む顔になった。あのとき「ん、それは見ておきたいな」みたいに先生の穏和な表情にカチッとなにか別な要素が入ったの、私はいまでも記憶している。
「それはちょっと気になるから、もう一回、三ヶ月後にみようか。いまの大きさを計測して残しておいて三ヶ月後に大きくなってるか、チェックしましょうまあ間違いなく良性だと思うけどね。典型的な良性腫瘍だしこの形も触った感じも」

それで次の予約を入れて「良性らしいから心配ないみたいだ」と、私はしこりに名前をつけた。

なんかわかんないけど、ほら、自分の身体の一部で育ってるみたいだから、可愛い気がしたので。
脳内で「しこりちゃん」(ドストレートのなんらセンスのない名前ですね……)と名付け「あんまり大きくなんないでねー。大きくなると良性でも邪魔になるから手術で取ることもあるんだってー」「共存したいからそのままの姿でいてね、しこりちゃんー」と胸のしこりと脳内で会話をしつつも暮らしはじめたのだった。

そう。最初は良性の、良いしこりちゃんのはずだったんたですよ……。

2017/06/10 11:31

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プロフィール

佐々木禎子(ささき ていこ)
作家。
札幌出身・東京と札幌を行ったり来たりしています。
1992年雑誌JUNE「野菜畑で会うならば」でデビュー。

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