「海が走るエンドロール①」たらちねジョン
主人公は65歳のうみ子さん。夫を亡くし、ひとり暮らしとなった彼女は、ひょんなことから数十年ぶりに映画館を訪れます。そこで映像専攻の美大生と出会い、うみ子さんは自分のなかに眠っていた衝動とはじめて向き合うことになります。
「映画を撮りたい」
とってもよかった!
うみ子さんもすてきだけど、彼女が出会った美大生の海くんがこれまたすてきな人物で。うみ子さんは自身の年齢を気にして、学生たちのまえで思ってもない卑屈なことをつい口走ったりしてしまうのだけど、海くんははじめから一貫して、うみ子さんを年寄り扱いしたり馬鹿にしたりしない。そこがすごくよかったです。
あと、海くんの髪型と、細長い手足が個人的にどストライクです!(笑)
(ちなみに、うみ子さんは海くんのおばあちゃんと同年代だそうです)
海くんがうみ子さんに
「後悔したことありますか」
と尋ねてからの描写、海くんの背負ってきた過去のできごとが明かされる流れがとてもやるせなくて、胸が詰まります。
「自分が、知らないうちに人を傷つける。嘘をつかせてしまう」
その痛みを知るからこそ、うみ子さんのことを一度も否定しなかったのかなと。
「このマンガがすごい! 2022」オンナ編の第1位となった作品だそうです。
メジャーどころは避けたいあまのじゃくなわたしですが、試し読みで1話めを読んでおもしろかったので迷わず購入しました。
続きが楽しみです。