中国語の「まーまー」とは何か
佐久田さんの息子さんが、第二外国語で中国語を勉強されていると聞いて、急に親近感が……。
佐久田さんと息子さんのやり取りが面白いですね!確かに中国語学習は、日本人にとって簡単ではないです。
そこで今日はちょっと調子に乗って、果たして需要があるかどうかわかりませんが、「なぜ日本人にとって中国語学習が難しいのか」というお話を少しさせていただこうと思います。
佐久田さんの仰っている「まーまー」というのは、中国語が
アクセント言語であることを表す言葉です。
それに対して、日本語は
モーラ言語であるために、日本人には
中国語の発音の違いがうまく聞き分けられないのです。
日本語がモーラ言語であるというのは、「音の長短によって意味が変わる言語」であることを表します。
例えば、「おじさん」と「おじいさん」の違いです。
字では「お
じいさん」ですが、実際の発音は「お
じーさん」ですよね。
つまり、「お
じさん」と「お
じーさん」の違いは、「じ」(1モーラ)に対し、「じー」(2モーラ)が2倍の長さになっているというところにあり、それを日本人の耳は無意識に聞き分けているのです。
日本語でも――例えば関西アクセントでは「橋」と「箸」の違い、「雨」と「飴」の違いが曖昧になるという話が有名ですが、「あめが降ってきた」という関西アクセントの発音を関東人が聞いたとしても、前後の文脈的に、普通は「飴が降ってきた」と誤解することはないので、やっぱり日本語は
アクセントによって意味を識別しているわけではないということになります。
一方の中国語は
アクセントによって意味の違いを表します。それが「声調」と呼ばれるもので、
四種類もあるのです。同じ「まー」という音でも、声調が異なると意味も異なります。
一声:媽(ㄇㄚ) :お母さん二声:麻(ㄇㄚˊ):麻三声:馬(ㄇㄚˇ):馬四声:罵(ㄇㄚˋ):ののしる※注意していただきたいのは、上記は台湾で使用されている
繁体字と
注音符號というものです。佐久田さんの息子さんはたぶん、中国大陸の
簡体字と
拼音で勉強されているはずなので、教科書では「まー」の発音は、台湾式の「ㄇㄚ」ではなく、中国式に「ma」と表記されていて、字体も異なると思います。中国語というのは、
漢字一字が一つの音(おん)を表すわけですが、それが単語やセンテンスになった時、この四種類の声調を「一音ごとに変えて発音する」ことになるわけで、元々こうした発音体系を持たない日本人にとっては、かなーり、いや、非常に難しいのです。
長々と、なんだかわけのわからない話になってしまって恐縮なのですが、何を申し上げたいかと言いますと、佐久田さんの息子さんは、きっと頑張っていらっしゃると思います!中国語学習は、長い目で見てあげて下さいませ!(*^^*)