読了
例のミステリ三大奇書の一つ――読むと発狂するという伝説まである
『ドグラ・マグラ』、読了しました。
いやあ、確かに奇書ですね!
千年の時を超えた物語のようでもあり、たった一日だけの物語のようでもあり、いや、あるいはそうでなく――という……
何言ってるかわかりませんね……(汗)
もしかして、読み終わった人がこういう意味不明の感想しか言えなくなるから「発狂する」という伝説が……?(笑)
とても面白かったのは確かです。(途中、登場人物の一人が書いた論文が全文挿入されていたりして、ちょっと読みにくいところもあることはあるのですが…)
ただ、この本についてレビューみたいなのを書くのは極めて難しい、と思いました。上記のわけのわからない呟き以外、なかなか感想らしい感想が出てこないです。
そして今私の頭の中では、「胎児よ / 胎児よ / 何故踊る / 母親の心がわかって / おそろしいのか」という巻頭歌と、「ブウウーーーーーーンンン」という「ボンボン時計」の音が鳴りひびいています。(こう書くと、かなり「危険」(?)な感じもありますね…汗)
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読了と言えば、米澤穂信さんの『栞と噓の季節』も読み終わり、こちらもすごく面白かったです。この作品は「図書委員シリーズ」と呼ばれ、『本と鍵の季節』の続編になります。
堀川次郎君と松倉詩門君という二人の男子高校生コンビが「日常の謎」を解いていくシリーズです。
ただ、『本と鍵の季節』が短篇連作だったのに対し、新作『栞と噓の季節』は長編です。
長編ミステリは、中だるみというのか、途中ちょっと退屈なところがあったりしますが、この『栞と噓の季節』はかなりの長さながら、前半からいくつも見せ場、山場があって、途中で全く飽きさせない構成が非常に巧みだと思いました。
細かく丁寧に伏線が張られ、それらがきっちり回収されると共に、意外な真相が浮かび上がる――正に安定安心の米澤ミステリという感じです。
しかも、いかにも青春ミステリらしい痛切なラストで、私的にはかなりストライクでした。
米澤さんの作品は、デビュー作の『氷菓』、代表作の一つである『満願』、直木賞受賞作の『黒牢城』、今回の『栞と噓の季節』など――いずれも、どちらかと言うとイヤミスに分類される内容が多いような気がするのですが、それでも読後感自体は必ずしも悪くないという……矛盾しているようですが、そんな感想をいつも抱きます。