桐乃さんへ
『午前6時にベルは鳴る』桐乃さんの短篇の切れ味の鋭さ、完璧な構成――本当に本屋さんに並んでいないのが不思議なくらいです。
エンターテインメントとしてすごく面白いですが、こうした「悪」や「事件」を桐乃さんが描くというのが一種の叙述トリックになっているとも感じました(*^^*)
ちょっと伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』を思い出しながら、計算されつくしたミステリーを堪能させていただきました。
そして、『愛されたいとは思わない』……この作品もレター欄が閉じられているので、私が勝手な感想などを書くのは、ある意味桐乃さんを困らせることになってしまうのかもしれません。
でも、やはり書かずにいられないのです。
作品の内容に関しては、私は語るべき言葉を持ちません。実は何度も書き直したのですが、結局全部消してしまいました。
私の言葉は、あまりに空疎だと思い知ったからです。
結局、残ったのは以下のような、私みたいなのがこんなこと言って何の意味があるのだと失笑されるレベルのつぶやきになってしまいました…
桐乃さんは、いつかきっと作家として大成される方だと思います。
桐乃さんの作品には、多くの人を幸せにする豊かなエンターテインメント性があります。しかも、その中に桐乃さん自身のご経験が、そして桐乃さんが世界に向けて発するメッセージがさりげなく織り込まれています。
それが唯一無二の作品世界を創り出していると感じます。
桐乃さんの作品を拝読することができて、桐乃さんとレターのやりとりをさせていただくことができて、私は心から幸せです。