『迷ダン』反省会

迷子スキルのダンジョンキーパー
人気が出なかったので35話(単行本1.5冊ほど)で打切としました。
3桁ポイント。
きびしいげんじつ……。

というわけで反省会をしたいと思います。

2017/08/27 01:29

ダメだったところ
①戦力の小出し
何回かに分けて宣伝をしたので、ブクマがバラけましたね。
今回はその分2度ぐらい日刊ランキングに上がったんだけど、ダメでした。

②話数は少ない?
最初3話で上げてダメ。
次に20話で上げてダメでした。
3話でダメだった作品は、20話でもダメなのかもしれません。
ただ6~20ぐらいはあった方が、分量として読まれるのかもしれません。

③題材がダメ
まあこれにつきますね。
ここについては後述

④長く続けてしまった
固執した、というよりは実験の意味が強かったですけど。
分量の問題は関係あるのかどうかの検証だったんですよね。
これも後述。

⑤キャラクター
ちょっとここ、引き出しが少なかったのも後からの反省点です。
もうちょっと魅力的なキャラクターの引き出しをたくさん作らないといけない。

2017/08/27 01:30

【その他雑感】
・長く続けてはいけない
誰も読んでくれないのは精神的にも辛い面はありましたね。
スパッと1章終了前で畳むぐらいの決断力は必要かもしれません。

④で言ったことですが、「20話で1章完結した後に日刊に入れば、上がるんじゃないか?(キリが良いので)」という目論見があったんですけど、まるでダメでしたね。
ダメな場合は2,3日でランク外に落ちますので、タイトル変更チャンスも少ないです。
ただ少なく見積もっても100人以上は完走まで読んでくれたような傾向はあったので、贅沢といえば贅沢な話かもしれません。
書くこと自体は楽しかった!

・面白かったのか
この文量の作品を書き続けて、読者数が一定以上いて悪い感想はついていないので、読めば面白い作品になっているのではないかとは思っています。
まあ、それだけではダメなんだろうなぁ。
自分では書いてる最中も後から読んでも面白い作品になったとは思っています。
面白いだけじゃダメ!

・文体は受け入れられたのか?
なろうの点数的に見ても、文体が悪い(一人称丁寧語系女子)わけではなさそう。

・展開は受け入れられたのか?
血まみれになりながらナイフ滅多刺しにする女の子のシーンを書きたかったのですが、批判等まったくありませんでしたね。
日常ダンジョン運営からの地続きでの能力バトルとして受け入れられた……と信じたい。
最後は設定厨的なシリアス展開でしたが、そこもまた一切批判はなく。
読者は一定数いた+ブクマは減ってないようなので、受け入れられなかったということはなさそう……とは思うんですが、ちょっと分母は少ないです。

2017/08/28 01:38

【ここが特にダメだった】

・題材が不足している(企画力が弱い)
これが僕の意識した、本作最大のウィークポイントですね。
タイトル変更は4,5回ぐらいしましたが、そこで諦めた理由でもあります。

この作品、アピールポイントが無いんです。
前作開拓ごはんは、「妖怪」「開拓スローライフ」「ごはん」などさまざまな要素が付加されていました。
これは初挑戦にあたり、いろいろ後付したものでもありますが。
でもこれらはジャンルとして確立しており、一定の読者層も引きつける魅力ある要素でした。
しかし今回は「ダンジョン」ぐらいしかありません。

ではアピールポイントが無いと、どうなるか。
タイトルが付けられない」んです。
つまり企画として脆弱。
これが今回、一番痛感したポイントでした。

読者を引きつけるタイトルが付けられない。
これが企画の弱さの全てを物語っています。

しかしここから「企画力の高さとは何か?」という輪郭がはっきりしてきたようには感じました。
つまり「企画力の高さ」とは、その作品に惹きつける魅力の「多様さ」という側面があるのではないか。ということです。

新奇性とオリジナリティというやつは、題材の組み合わせにあるとは思います。
ただその題材を構成する要素の、人気・なじみ深さが重要なのかなと。
つまり新奇性って、「古典+古典=斬新」ではなく、
「古典✕古典=斬新」のかけ算なんじゃないかなと思います。

なので、その構成要素自体に人気(面白さの予測)がゼロだと企画性が弱い。
異世界ファンタジー(100)✕迷子(1)✕ダンジョン(10)=1000
とかやってもダメだったんです、たぶん。

これが前作開拓ごはんとのポイント取得の違いで、
異世界(100)✕妖怪(3)✕スローライフ(10)✕飯物(10)=30000
という差になったようなイメージです。

素材に好感度が存在し、1✕1ではなく、2✕3とかじゃなきゃ企画の強さにはならないのではないでしょうか。

2017/08/28 01:55

【ここはダメだったかどうかわからない】
・承認欲求テクニックが薄い
・文量
・女主人公
・チートなし
・ハーレムなし

この辺は意識してなろうの主流を外そうと思ってやったことでした。
とはいえ人気が出なかったという事実があるので、これは検証のしようがないんですが……。
点数比率的には、前作よりは低めな面はありました。
女主人公で承認欲求が薄い点は、ちょっとマイナスポイントだったのかもしれません。
(しかし前回平均4.8点ぐらいで推移してたのが4.5点ぐらいだった程度なので、たぶん誤差です。平均3点ぐらいの作品もなろうにはゴロゴロありますし)

ここで問題なのが、「ブクマ率」です。
PVとブクマ数の比率を見てみると、ちょっと面白いことがわかりました。
これちょっと他の人気作や不人気作も簡単にデータを取ってみたんですけど、
ブクマ率はほとんど変わらないんですよね。
つまり乱暴に「PV=ブクマ」といってもほとんど間違ってない。
ただきちんとしたデータはとってないので、もっと細かく調べる必要はあるかなと思うんですけども。
少なくともだいたいどの作品も、PV1.4%~1.8%程のブクマ率に推移しているように思われます。
日刊ランキング1位も10位も50位もあまり変わりありません。
どれも「100回見たら1回ぐらいはブックマークしてくれている」のです。
(※ユニーク人数ではなくPV回数なので、多く話数を読ませられれば=面白ければ、その分有利ということでもあるかもしれません)

つまり、「クリックされれば日刊ランキングは上がる」んです。
……なんかアフィブログみたいな話になってきましたね。辛い。
もちろん、これはあくまでも初動の話です。
そこからは内容も影響すると思うんですが、まずは初動を乗せなければ戦場に立てない。

逆に、これは根拠のない予想ですが、初動さえ上手くいけば5000~10000ぐらいは稼げるのではないでしょうか?
ここがつまり「企画力の強さ」になるのかなと思います。

2017/08/28 02:36

今回のなろう挑戦のまとめです。

・まずは企画力が全て
 イコールで、何が好まれるかという分析力が評価の7割ぐらいを占めるかなと。
 残り3割で、発想力が試されるのではないでしょうか。
 分析をサボってセンスで賄っても大丈夫ですが、センスある人が分析した方が更に強いです。
 とにかく企画力でクリックさせろ!

・内容についてはなろう座談会をご参照ください
 面白いものが書けるなら、たぶんそれで大丈夫です。
 なろうは時流を含んでさえいれば、何でも受け入れてくれる土壌はあると思います。
 でも時流ゼロで自分の我を押し付けようとしても誰もみてくれないので、8割の時流に自分の作家性2をぶつけるぐらいが良さそう。

 書けないなら、なろう座談会を参照しましょう。
 あれに従えば、それなりのものが書けると思います。(丸投げ)
 ただあれは基本的な「エンタメってどういう事なの?」という話にも通ずることが書かれていると思うので、挑戦する方はあれを噛み砕いて自分の物にしておいてください。
 そうでなければエンタメ小説という物を書くスタート地点には立てないとは思います。

・小さな積み重ねが大事な可能性はあるよ!
 宣伝は重ねて一気に上位を目指すとか、特定の要素が無いだとか、そこはおそらく誤差とは今回は思いました。
 ただ誤差の積み重ねで勝てることはあると思うし、もしかしたら誤差の積み重ねが一定を越えた時に結果として出てくるのかもしれません。
 実験以外でやる意味はないので、自分がどうしても何があっても死と天秤にかけてでも入れたくない要素以外なら、どんどんなろうで好まれる要素は入れた方がいいとは思います。
(内容についてまでは割愛はしますが、なろうが下に見られるような要素は、本質的なところでは普通の人も好きな要素がなろうで劣化して表現されただけなので、その分析を進め本質を掴む事が重要です)

 知り合いに4000ポイントで出版社に声をかけられたり、噂では1000ポイントぐらいで話が来たという情報もありますので、ここらへんの誤差も馬鹿にできないとは思います。

とりあえずは以上ですが何かご意見ありましたら、お気軽に書き込みお願いします。

2017/08/28 03:00

お邪魔します。トークメーカーユーザーの米洗ミノルです。

滝口さんのしゃべロクや作品、いつも楽しく拝見しております。


分析、とても興味深いです。


それで、この流れでふと思い出したのがジェームス・W・ヤング(アメリカ広告業界の巨人)の著書、『アイデアのつくり方』の中で述べられていた、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」というフレーズでした。


奇抜な要素そのものだけをアイデアと呼ぶのではなく、別々の要素をいかに組み合わせるのか、その新しい組み合わせこそがアイデアだと、そういう趣旨の言葉でした。



滝口さんがおっしゃっていた個々の要素の持つ訴求力と、そしてそれらを用いて「新しい組み合わせ」をどう作るか、どう見せるのかが肝要なのだろうなと改めて考えさせられました。そしてそれこそが作品のオリジナリティ(武器のひとつ)になるのだろうな、と。



ちなみに、開拓ごはんで僕が惹かれたアイデアは、「西洋ファンタジー×座敷わらし」の組み合わせでした。「座敷わらし」のピンポイントさが作品のイメージを身近なものにしていて、興味をそそられたような気がします。


無論、「開拓」や「ごはん」に魅せられた人も多いでしょうから、魅力の多様さ(フックの多さ)はやっぱり強力な武器になるのでしょうね。

まあ、とにかく詰め込めばいいというワケでもないのでしょうけれど……。

2017/08/28 20:09

>米洗さん
コメントありがとうございます。

>アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
その通りだと思っています。
特に小説なんかは『文化』という物が螺旋のように積み重なった物なのかな、とは感じています。
というとなんだか抽象的な表現ですが、紫式部とか坊っちゃんとか過去の歴史上の作品があった上で今の最新のなろうだとかライトノベルが成立しているわけで、それ自体が全くゼロからのアイデアなんていう物は無いんじゃないかなーという程度のお話ですけども。

>個々の要素の持つ訴求力
ここはあくまでも独自分析であり、更に言うなら「なろうにおいて」という前提がつきますけどね。
例えば「横浜駅SF」(カクヨム大賞受賞作)という横浜駅が無限増殖する作品がありますが、あれは横浜駅にもSFにも大した訴求力はなくて、でもその組み合わせと発想が面白い(いつ見ても工事してる横浜駅が無限増殖しているという与太話)というアイデア一本勝負の企画力が強い作品となっています。(「横浜駅大好きなんだ! 買おう!」って言う人はあまりいない)
賞においては時代をリードするような「真新しいアイデア」を求める傾向にあるので、ここは無視してもいいかもしれません。

ただ以前の座談会で「なろう発の書籍は売上がいい」という話を新木先生がされていた通り、一般的な読者が求める要素としては「知っている物を求める傾向」は確実にあるとは思っています。
推理小説が好きな人は、やっぱりタイトルやあらすじに「密室」とかあるとオッと目が引かれると思うので、ある一定量の「お楽しみ保証」とも言えるべき要素はあった方がいいのではないか……というのが持論ですね。

>西洋ファンタジー×座敷わらし

なるほど、ありがとうございます。
私もこの点については意識はしておりました。
後々調べると、異世界✕妖怪物は一件ぐらいしか書籍化はされてなかったんですよね。(なろうからはゼロ)
割とさんざん刊行されている異世界物でも、まだまだ余地はあるんだなぁと本作を通しては思っています。

(余談ですが、編集曰く、和物は売れないらしくて、今進めている単行本のタイトルやデザインは両者間でかなりの協議が繰り広げられていました……(笑)
ただやはり読者的にもここは重要のような感想も来ておりまして、出来るだけ座敷わらしという要素は強調させては頂いてますけども)

>フック
そうそう、フックです!
この表現が一番しっくり来ますね。
フックが多い作品の方が、なろうでは有利なのかなとは思っています。
乱雑になると物語としてもまとまりがないものになってしまうのは確かにその通りで、基軸として3~4ぐらいがいいところなのかな、とは思っています。

2017/08/29 00:58

……と、ここまで書いて、メイン題材が「異世界✕座敷わらし」であり、
「開拓」や「ごはん」は「何が起こるか」みたいな展開の示唆なのかもしれないという可能性に思い当たりました。

旧題は「座敷わらしと開拓ごはん!」だったので、
これらは構成要素というよりは、
「座敷わらしと」「開拓しながら」「ごはんを作る」
誰が、どのように、何をするのか。
ここが具体的に表現出来て、イメージが浮かぶことが良かった可能性もあります。

迷ダンは「タイトルが付けられない」という点が題材としてダメだったことに変わりはありませんが、それに付け加えて
「迷子の少女が」「ダンジョンを管理」
これが全然魅力がないし、イメージもしにくい。
この点が勝敗を分けたのかもしれないのではないかと、改めて思ってはいます。

「具体的なイメージ」


ここを次回は意識してみたいですね。
……この発想はたぶん一人では思い浮かばなかったので、コメント本当にありがとうございます。

2017/08/29 01:35

プロフィール

滝口流です。滝口、たきぐち等という名前で活動している事もあります。
Twitter @TakigutiR

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