漫画原作チャレンジ

というわけで普段漫画をあまり読まない私がヤンマガの公式サイトを見て研究することにした。
三田紀房先生の漫画、群を抜いて面白いやん……ナニコレ……。と経歴を見ると面白い経歴。
理論で戦う正しい努力をするタイプの人だな……? と思って調べたら出てきた、方法論。
https://mitanorifusa.com/tags/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC%E8%AB%96

これだ……!
これが私の知りたかったネームの描き方なんだ……!

2017/06/14 23:15

漫画原作を考察する。

・「間」について。

コマ割での表現や余白の空間を差している、読むテンポの事だと思われる。
しかしそれを分析するに、それは「……」を示しているわけではない。ただ読解時間のテンポ操作の意味はあるだろう。

実際に漫画を読めばわかるが、読者の読解スピードの操作中には何が画面に写り込んでいるのか? を分析すればわかりやすい。
大抵は背景や登場人物の表情が写り込んでいる。

これはつまり、「間」はおおよそ「文字以外での描写」のことだ。
もちろん文字の場合も含められる。
それを入れるのであれば、「テンポの緩急」と言い換えてもいいだろう。

文字を使わずに表現する。
これは確かに漫画家には必要な能力だろう。
文字だらけの漫画は稚拙だ。

ではこれは「漫画原作者」には重要なことなのだろうか?

絵だけで伝えたいことを表現するには、登場人物の表情や背景・小物、コマ割り以外にも表現する方法はたくさんある。
例えばカイジやドラゴン桜なんかを思い浮かべてもらえればわかりやすいかもしれない。

あれらの漫画は、直接的な表現をしている。
「先人の知識を借りる」という表現を「巨人の背中に乗る」と言い換え、それを実際に「巨人の肩に乗っている情景」を描写している。

これは文章表現で言うなら「例えば○○だ」みたいな直接比喩表現と言えるだろう。
逆に、前述した「間」での表現は暗喩表現に近い。
登場人物がもどかしげな表情をして黙る。それは彼の心情を表している。そしてその間の取り方によって、物語の緩急を付けているのだ。

つまりあくまでも「表現技法の一つ」でしかない。
それ以上でもそれ以下でもなく、逆にドラゴン桜やカイジの例を取るに「直接比喩」も立派な表現手段の一つであると言えよう。
この「間」は本当に「漫画原作者」に必要なスキルなのだろうか?

例えば「総理大臣が原作者の場合」を考えてみれば「有用なスキル」ではあっても、決して「必須なスキル」ではないことがわかる。

「間」よりも重要な能力が、漫画原作者にはある。
これは確定的だ。

テクニックとしてこれを習熟するのは漫画家にとって無駄には決してならないだろう。
だが、漫画技法を研究したことのないような漫画原作者志望に求めるのはいささか無理がある。
むしろこれは技術の一つであるので、後追いで良いので必要に応じて研究・習熟するような代物だろう。


よって、「間」の技法は、漫画原作者には必須ではない。

と結論付ける。

むしろ三田先生の例を見るに、直喩表現の方が素人には楽にも思える。
要は「絵面として映える」「視覚で訴えかける」という点が漫画は小説媒体などよりも重要なのだろう。

さて、とりあえず研究ルートを封鎖して後回しにした。
これをもって「漫画は分析できない」と思考放棄するか、「一歩前に進んだ」と考えるかは人それぞれ。
私はもちろん後者である。

2017/06/20 20:31

漫画原作を考察しましょうね。

突然だが、サラリーマンの顧客は消費者ではない。
サラリーマンの顧客は上司だ。
上司に好まれること(報告書の作成と、それによる実績のアピールなど)がサラリーマンが第一に優先しなくてはいけない仕事だ。
消費者の満足というのは、実績としてそれを得る為の手段である。

さて、では漫画家の顧客は誰だろうか。
そう、編集者だ。
編集者に連載開始をさせる。
そして単行本の実売数を稼ぎ、会社に利益をもたらす。
その結果編集が評価をし、引き続き仕事を頼む。
漫画家の業務目標はこの点に集約される。

つまりヤンマガの連載を目指すのであれば、第一の目標として「ヤンマガの編集はどんな目線で新連載を始めようとしているか」という編集の目線が必要だ。
読者に気に入られ売れることは残念ながら第二の目標になる。
これは曲げられない事実だ。

そんな目線でHPにあるヤンマガの一話を眺めると、明確な共通点が見えてくる。
それは新奇性を意識した展開だ。
予想もしていない展開を一話、もしくは1-2話でぶち込むのが多い。
それをしていないのは、既成作家ぐらいだろう。

これはもう編集部として「オッと目を引くような新奇性」を意識していると言わざるをえない。
その新奇性をいかに出すかというのが、ヤンマガ編集部が求めている人材のように思える。
逆に言えば新奇性溢れる題材、つまるところ話題性以外は求めていないのでは? とすら思う。
それぐらいに一話は衝撃的なインパクトを伴う物が多い。

では具体的にどんな漫画を書けばいいのだろうか。
新奇性があり、目を引き、人気が出た、原作漫画。
ここではデスノートを例に出そうと思う。

あれは漫画賞を受賞するぐらいの一話の完成度の高さを誇るだろう。
まずはこれを構造解析する。あまり構造解析は好きではないが、とりあえず要素を抽出せねばなるまい。

構造としては「世界観(死神界・人間界)」「キャラ(月とリューク)」「デスノート(能力ルール)」「Lとの対決」が明示されていた。
(その過程で世界観の表現手法について気づいたことがあるが、それは割愛)

ここでは5W1Hではないものの、「いつどこで」「だれが」「どのように」「なにをしていくのか」が書かれている。
なるほどわかりやすい……!

さてではこのデスノート、いったい何が面白いのだろうか。
続きを読ませる期待感を煽り、何が読者に新鮮に映るのだろうか。

そう考えたとき、この話の題材はデスノート……ではないことに気付くと思う。
考えてみれば、これはデスノートである必要がない。
例えばデスノートがデススマホだったり、催眠ノートだったりしても話は成立するのだ。
もっと違う、例えばどこでもドアでも構わない。
ではデスノートの肝は何なのか、と考えるとそれは「知能戦」だろう。

大体にして「人を殺すノート」。これは陳腐な話だ。
「思ったら人を殺せたらなぁ」の延長でしかない。
これを思いつくかどうかは「100人いたら1人ぐらいは考えつくんじゃない?」レベルではないだろうか。そして他の99人は、似たような、あるいはもっと新鮮味のあるネタを考えつくのではないだろうか。

そう、この話の新奇性はそんなチープとも言える能力を「知能戦」に落とし込んだところにあるのだと思う。
この知能戦にこそ、読者は魅了されたのだ。

これは知能戦が新しかったのではなく、「容易に人を殺せるチート能力」「を使って大真面目な知能戦をする」という組み合わせが面白かったのだ。
チープ+新たな組み合わせ。
例えばこれが「デスノート」+「他の種類の能力を持つ者たちの能力バトル」だと(それはそれで面白いかもしれないが)全く別の読み味になっていたと思う。
※もしくはこれに「リアリティある世界観」というのも必要だった可能性もある。少なくとも夜神月の目的「新世界の神になる」は関わっているが、ここの考察はちょっと次回へ回す。


この考察で言える事は以下のことだ。

「素材となるギミックは陳腐でもいい」
「重要なのは『いかに調理するか』である」

むしろ「素朴な素材」+「意外性のある調理方法」こそが重要な可能性もある。


これに引き続いて、「では実際に題材をどう調理するのか」を考察したが、眠いので明日書く。

2017/06/20 22:01

漫画原作を考察するぜ!
寝てない。寝れない。しょうがないから書くぜ。

さてでは「どうやったらデスノートを作れるか」を考える。
逆アセンブルというやつだ。
まずこの作品、とてもわかりやすい例になってくれるのだが「読み切りVer」がある。
読み切りは小学生が拾っててんやわんやした挙句死神の消しゴムみたいのが出てきて蘇るやつだ。

当然、前述で「肝」とした「頭脳戦」が無い。
つまり「頭脳戦」は後付設定だったのである。
根本としては「大真面目にやる」があるのかもしれないが、それを尖らせた結果が「頭脳戦」になったのかもしれない。

ではどうやったら「デスノート」に「頭脳戦」という調理法を持ち込めたのだろうか。

パターンは三つ考えられる。

①「大真面目にやる」を更に拡大した。
②「誰が持つと面白いか」を考えた。
③「デスノートという能力をどう使えば面白くなるか」を考えた。

この三つ、おそらく複合での思索は行ったとは思うが、一番推したいのは②だ。
理由は、この要素は「Lがキラをプロファイリングする」「火口がノートを拾う」などの時に「誰がノートを持っているか」「どんな人間にノートを持たせるか」などで形を変えてキャラクター造詣が説明されているからだ。
この点は意識して行ったのではないだろうか?

つまり仮説としては
「デスノートをどんな人間が持ったら面白い話になるか?」=「頭脳戦」を導き出したという説である。
例えばこれはワンパンマンなどにも当てはまることだろう。
「最強の腕力を持つヒーローは、どんな性格だと面白いか?」


※ここはちょっと怪しい。
「小学生が真面目に考える話」を「天才高校生が大真面目に考える話」にグレードアップしたんじゃないかとも考えられる。


とりあえずこのパターンの他に、座談会内では「総理大臣がネーム原作者に向いている」とあったのでそのパターンも考えてみよう。

思考実験を行う。

元総理大臣が原作者となる。当然知名度で売れる。

では例えばKO泉と名前を変える。
KO泉先生のリアル総理大臣物語。
売れるだろうか。僕は売れないと思う。

では次にどうやったら売れるかを考える。
例えば「普通の女子高生がリアル総理大臣になるお話」。
普通に面白そうだ。日常シーンで面白そう。
他にも例えば「総理大臣がタイムスリップする話」。
第二次世界大戦前や、幕末あたりにタイムスリップしたら面白そうだ。
実際にどんな話になるかは、僕は総理大臣の経験が無いのでわからないけれど。

総理大臣に大きな新奇性があるのがわかると思う。
「女子高生+総理大臣」
「総理大臣+タイムスリップ」
前者の場合は女子高生という陳腐な題材を、総理大臣になるという新奇性満載の調理をした形だ。これは構図としてはデスノートに近い気がする。
逆に後者の場合、これは「総理大臣経験」という能力者と見るとわかりやすいかもしれない。総理大臣という新奇性溢れる能力を、生かすためのタイムスリップ世界観を用意したのだ。
これは三田先生のアルキメデスの大戦(数学という題材に、日本海軍という舞台)が近い構図なのではないかと推測している。

このように、いかに陳腐な題材や世界観であれ、新奇性がある項目と組み合わせればそれは新奇性溢れる漫画となる。
それぞれが新奇性が薄くとも、意外な組み合わせ自体新奇性になる可能性もあるかもしれない。


よって結論としては、最初に決める題材はなんでもよい。
「新奇性溢れる題材」+「陳腐な舞台」でも。
「陳腐な題材」+「新奇性溢れる舞台」でも。

重要なのは「新奇性溢れる組み合わせ」だ。


鈴木輝一郎先生の言葉に「ジャンルの中で素材を完結させるな!」というのがある。
ミステリに「温泉」や「列車」。ラノベに「学園」や「異世界」。
そのジャンルの中に既に内包されがちな物を使ってはいけない、ということだろう。

そのような観点もモテば、おのずと「書くべきもの」は見えてくるのではないだろうか。


まずは陳腐でもなんでもいいので、自分の書きたい題材を取り出す。
そしてその題材に対して「最も新奇性が溢れる組み合わせ」を考えるのだ。


この「題材に対しての調理法」の選定の仕方についてはもう少し考察が必要だろう。

しかし確実に、深淵へと近付いている気はするのであった。

2017/06/21 06:37

漫画原作考察

世界観の出し方。

世界観は背景の描写で行う。
これは背景の景色や小物という意味でもあるが、重要なのは「モブキャラのセリフ」だ。

「平均的な一般人が何を言うか」
これにより、その世界の「普通の価値観」がわかる。

これはどんな創作物にも応用できるテクニックだろう。
名前のないキャラクターのセリフにこそ、世界観が宿るのだ。

2017/06/22 00:27

見せゴマ自体はいわゆる「小手先のテクニック」だと思う。
それは例えるなら「だいたいこういうページ構成」とか「こういうコマ割りが時流」みたいな、あとでどうとでもなる、いわば編集の領分のような魅せ方のテクニック。

ただここで重要なのは、「どうして見せゴマが必要なのか」という点だろう。
これは「ワクワクするのに必要な条件」を、「アピールしている」のではないだろうか。

読者の期待を煽るというのが一番の目的になっていて、それに対してその作品のワクワク構成要素を印象付ける為のテクニックが「見せゴマ」なのではないだろうか。

これらの要素が正しくはなんと言われているのかはわからない。

うーんあと10日。とりあえずこの漫画原作論を詰めつつ、手分けして友人に作品を作ってもらうことにする。

2017/06/30 14:21

「どんな世界観で」「どんな人が」「どのように」「何をして」「何を目指す」

これはつまり
「世界観」
「キャラクター」
「能力」
「能力の利用方法」
「大目的」
という提示が必要なのではないだろうか。

「大航海時代」「大海賊に命を救ってもらった少年が」「ゴムになる特殊能力で」「戦い」「海賊王を目指す話」

「死神界の存在する現代」「天才少年が」「デスノートで」「犯罪者を殺し」「新世界の神を目指す話」

この五点の提示と、組み合わせが大事なのではないだろうか。

2017/06/30 14:26

とりあえず自分の分はダメだったけど、友人と協力して一作友人基点の作品を投稿。
客観的に読める、楽しめる作品にはなってるとは思うけど、果たしてどうなるかなー。
というわけで一旦このテーマは〆。

2017/07/11 20:17

プロフィール

滝口流です。滝口、たきぐち等という名前で活動している事もあります。
Twitter @TakigutiR

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