『流行り』とは何か
ただ単に「みんなが書いてるもの」ではない。
流行りとは、現実世界に対する欲求不満へのアンチテーゼである。
展開やキャラクターに、現実で不足している欲求を回収できる要素があれば、それは多くの人に受け入れられることになる。
それがなければ、ただ単に奇抜なだけの設定に終わってしまう。
現実で義憤が抑圧されているなら、夜神月のような粛正者・正義の執行者としてのキャラクターに魅力を感じることだろう。
依存心が抑圧されるなら、ナルメアや源頼光のようなキャラクターに魅力を感じるだろうし、加虐心が抑圧されたなら、輿水幸子や夢見りあむのようなキャラクター性に魅力を感じることだろう。
現実が厳しいものなら、けものフレンズのように優しさと協調にあふれた展開に魅力を感じるかもしれない。
創作における『流行りの魅力』とは何か。
それは現実世界の不満を映す、鏡なのである。
逆説的にいえば、『魅力』とは流行りのこととも言える。
そしてその『魅力』は「わかりやすい形で明示化され、そしてブレない」作劇をすることで、ストレートに伝えることができる。
きちんとした社会の分析ができたとき『魅力』を生み出すことができるし、それが上手く伝わっていないと感じたなら『キャラがブレていないか』や『わかりやすすぎるぐらいに明示されているか』ができているかを確認すると良いだろう。