漫画原作チャレンジ

漫画原作を考察しましょうね。

突然だが、サラリーマンの顧客は消費者ではない。
サラリーマンの顧客は上司だ。
上司に好まれること(報告書の作成と、それによる実績のアピールなど)がサラリーマンが第一に優先しなくてはいけない仕事だ。
消費者の満足というのは、実績としてそれを得る為の手段である。

さて、では漫画家の顧客は誰だろうか。
そう、編集者だ。
編集者に連載開始をさせる。
そして単行本の実売数を稼ぎ、会社に利益をもたらす。
その結果編集が評価をし、引き続き仕事を頼む。
漫画家の業務目標はこの点に集約される。

つまりヤンマガの連載を目指すのであれば、第一の目標として「ヤンマガの編集はどんな目線で新連載を始めようとしているか」という編集の目線が必要だ。
読者に気に入られ売れることは残念ながら第二の目標になる。
これは曲げられない事実だ。

そんな目線でHPにあるヤンマガの一話を眺めると、明確な共通点が見えてくる。
それは新奇性を意識した展開だ。
予想もしていない展開を一話、もしくは1-2話でぶち込むのが多い。
それをしていないのは、既成作家ぐらいだろう。

これはもう編集部として「オッと目を引くような新奇性」を意識していると言わざるをえない。
その新奇性をいかに出すかというのが、ヤンマガ編集部が求めている人材のように思える。
逆に言えば新奇性溢れる題材、つまるところ話題性以外は求めていないのでは? とすら思う。
それぐらいに一話は衝撃的なインパクトを伴う物が多い。

では具体的にどんな漫画を書けばいいのだろうか。
新奇性があり、目を引き、人気が出た、原作漫画。
ここではデスノートを例に出そうと思う。

あれは漫画賞を受賞するぐらいの一話の完成度の高さを誇るだろう。
まずはこれを構造解析する。あまり構造解析は好きではないが、とりあえず要素を抽出せねばなるまい。

構造としては「世界観(死神界・人間界)」「キャラ(月とリューク)」「デスノート(能力ルール)」「Lとの対決」が明示されていた。
(その過程で世界観の表現手法について気づいたことがあるが、それは割愛)

ここでは5W1Hではないものの、「いつどこで」「だれが」「どのように」「なにをしていくのか」が書かれている。
なるほどわかりやすい……!

さてではこのデスノート、いったい何が面白いのだろうか。
続きを読ませる期待感を煽り、何が読者に新鮮に映るのだろうか。

そう考えたとき、この話の題材はデスノート……ではないことに気付くと思う。
考えてみれば、これはデスノートである必要がない。
例えばデスノートがデススマホだったり、催眠ノートだったりしても話は成立するのだ。
もっと違う、例えばどこでもドアでも構わない。
ではデスノートの肝は何なのか、と考えるとそれは「知能戦」だろう。

大体にして「人を殺すノート」。これは陳腐な話だ。
「思ったら人を殺せたらなぁ」の延長でしかない。
これを思いつくかどうかは「100人いたら1人ぐらいは考えつくんじゃない?」レベルではないだろうか。そして他の99人は、似たような、あるいはもっと新鮮味のあるネタを考えつくのではないだろうか。

そう、この話の新奇性はそんなチープとも言える能力を「知能戦」に落とし込んだところにあるのだと思う。
この知能戦にこそ、読者は魅了されたのだ。

これは知能戦が新しかったのではなく、「容易に人を殺せるチート能力」「を使って大真面目な知能戦をする」という組み合わせが面白かったのだ。
チープ+新たな組み合わせ。
例えばこれが「デスノート」+「他の種類の能力を持つ者たちの能力バトル」だと(それはそれで面白いかもしれないが)全く別の読み味になっていたと思う。
※もしくはこれに「リアリティある世界観」というのも必要だった可能性もある。少なくとも夜神月の目的「新世界の神になる」は関わっているが、ここの考察はちょっと次回へ回す。


この考察で言える事は以下のことだ。

「素材となるギミックは陳腐でもいい」
「重要なのは『いかに調理するか』である」

むしろ「素朴な素材」+「意外性のある調理方法」こそが重要な可能性もある。


これに引き続いて、「では実際に題材をどう調理するのか」を考察したが、眠いので明日書く。

2017/06/20 22:01

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滝口流です。滝口、たきぐち等という名前で活動している事もあります。
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