怖い話をしよう

 その1

夏も近いし怖い話。
私は霊感とされるものが一切ないのでその手の話はまったくないのだけれど。

身近なオカルトは、この数年、身体の左側に不調が続出し、とある人に突然「あなた、左側に生き霊が憑いているわ」と言われたくらいだ。
女性の生き霊が憑いているらしいです。

それがリアルだとするのなら生きている人にそこまで恨みをもたれるようななにかをした私自身がとても怖いんだけど……。
私、人に恨まれるようなことを自覚なくしているとしたら、ひどい女だぜ!

百集まったら完結させるので怖い話を書き込みしてくださる皆様、どうぞ最初にナンバーつけていってくださいね。

2017/06/29 11:37


自分も足音系なのですが……。

前に住んでいたアパート、引越直後から(二階建ての二階です)屋根の上をドタドタ歩き回る音がしました。屋根はほぼ平らで、トタン(?)などの金属板で葺いてあります。だいたいこのハデな足音がするのは午前中です。
でも隣のマンションから屋根を見ても、足跡もオバケもいません。
そして、夜には、壁の中を走り回る何か(小動物っぽい)の足音が時折……。
家人は、屋根はカラス、壁はネズミだと言っていたのですが、いまだに信じられません。
カラスがどんなにがんばって飛んだり跳ねたりしても、ドスンドスンと足音がするはずもないし、フンもありませんでしたので……。多分オバケだと思います。

http://shabelog.com/blog/izuru_s/

さんが寄せてくださった怖い話~。
ドスンドスン


 


2017/06/29 16:15

その4、参りましょうか。

最初に申し上げておきます、この話にオチはありません。小説と違って実話なんで、エンディングっぽいオチがないのは当然ですね。

東京に上京して間もないころ、友達になった野郎(Aとしましょう)のアパートに泊りがけで遊びにいきました。世田谷のアパートです。
ちょっと記憶が曖昧なのですが、たしか、そのAの隣の部屋の住人が前日に亡くなり、「ちょっと怖いから泊まりにきてくれ」と誘われたのだったのではないかなと思います。ぼくと、もう一人の野郎(Bとしましょう)に声がかかり、Aのアパートの一室に男3人で泊まることになりました。

Aの話によれば、亡くなった隣の住人は20歳前後の大学生。3時か4時くらいに壁を激しくひっかくような音と共に、呻き声を発していたそうですが、朝になると事切れていたそうです。死因は、肥満だったらしいです。ただ、「そんなに太っていたようには見えなかった」ともAから聞きました。

で、1日目。
別に何事もなかったんですよ。
夜が更けて、男3人で他愛ない話をしながら寝床につきました。

と思ったら、なんかAが布団のなかで、真っ暗闇でぼくの身体をタッチしてくるんですよ。何度も何度も、タッチしてくるんです。いや、誤解なきように、そっち系の人のタッチではないと想定します。何度も何度も小刻みに。Bのほうにも、同じようにタッチを繰り返しているんですね。しかも腕の動きが変なタッチだったように記憶しています。ぐねぐねしながら一瞬タッチ、そんな感じ。
何なのかなと思って電気をつけてみると、Aの目が据わっているように感じたんですよ。
でも実害はないし、「止めてくれ」と言うと、実際止めるんですよ。それでまた寝るのですが、しばらくするとタッチを繰り返してくるんです。
そんなことを繰り返しながら、夜が明けました。

2日目。
Aは普通でした。ぼくもBも、首を傾げつつも、釈然としない思いで相談しました。
そして「念のため神社に行こう!」と決まりました。
AもBも同意して(特に他にすることもなかったので)、アパートを出たんですね。電車で大きな神社に行こうとしまして、3人で駅のホームに行ったんです。世田谷線の、ちょっと寂しい感じの駅舎で、そんなに人もいなかったように思います。
3人で電車を待って腰掛けていたときに、電車がホームに乗り入れようとした瞬間、いきなりAが立ち上がって、電車に向けて駆け出したんですよ。
えっ!? と思って茫然としてえいたら、Aは急に我に返った様子で、何事もなくこちらに引き返してきて、元いた座席に座りました。Aに話しかけると普通で、今の自分の行動を記憶していなかったような感じだったんです。そのとき「こいつはなんか本気でやばい」と思ったので、電車には乗らず駅を出て、最寄りの神社に行くことにしました。
最寄りの神社は徒歩数分で、3人で「なんかやべえ」とか言いながら歩いていったように記憶しています。
で、神社がもうすぐかなというところで、Aがまったく動かなくなったんですよ。前に、進まなくなりました。いやいや来いよと思って、ぼくとBで全力で引っ張ったのですが、地面に両足ががっちりついた風で、とんでもない力で、まったく前には動かなくなったんです。ずいぶん粘ったと思うのですが、どうやっても動かない。傍から見れば、変な男たちだったでしょうね。
ともかく、どうしようもなくて、結局Aのアパートに引き上げることにしました。ぼくもBも、もう1晩泊まるつもりでしたが、そのときBに連絡があり、どうしても帰らなくてはならない用事ができたとのことでした。それでBと別れ、ぼくとAはとぼとぼAのアパートの一室に引き上げました。Aはごく普通なんですよ、会話もできるし、時々何かつぶやくけれど、こちらに聞こえることもない。目はギラギラしていたように記憶していますが、ぼくが勝手に後で作り替えたイメージかもしれません。

まぁすることもないので、Aと2人でテレビを見ていたんです。
そして20時も過ぎたころになると、なんかAがさらにブツブツつぶやきだしたんですよ。そして、急に目が妙な動きをしたり、怪しげな言葉をつぶやいたりするようになったんです。自分から見れば、突然の変わりようでした。もしかしたら早い段階からおかしかったのかもしれませんが、その前の段階ではどこか日常の延長線上のようなところがあり、危機を感じるというほどではなかったんです。でも、動物的勘とでも言いましょうか、鳥肌が立ちましたし、喉がカラカラに乾きました。
Aは奇妙な言葉を発しながら、ぼくをにらみつけるようになってきました。あまりに行動や言動がおかしくなりはじめたときに、「わっ!」とか大喝すると、Aは元に戻るんですよ。これでしばらく大丈夫なんです。でもまたおかしくなりはじめる。そしてぼくが大喝する。元に戻る。数分してまたおかしくなる。この繰り返しでした。何度繰り返したか覚えていません。しかもですよ、大喝→我に返る→おかしくなる→大喝……この間隔がどんどん短くなっていったんです。
携帯で外に110番しようとしました。いやでも、通じないんですよ。テレビは、Aと対峙したときに、早い段階でAが消してしまったように記憶しています。
冗談ではないんですよね。このときはもう22時も過ぎてましたかね。
さすがに帰ることを決断しました。それで、ぼくが何気なく出ようとすると、Aが立ちはだかるんですよ。このとき気づいたのですが、Aは最初からぼくを出さないような位置取りをしていたんだと思います。玄関に通じる通路の前あたりで、ぼくを睨みつけていました。

もう自分も身の危険を感じていたので、Aを殴り倒してでも出ようかと考えましたが、神社でのいきさつを考えると、あの力に勝てるとも思いません。それでも出るしかないと思ったので、気合を込めて立ち向かおうとしたときに、Aは玄関脇の台所の下から包丁を取り上げたんですよ。そしてぼくに向けてきたんです。いや、マジな話なんですよこれは……。

ぼくも怖くなると同時に逆上して、なんか色々言ったと思います。Aは一通りぼくの言葉を受け流したあとに、かすかな声で言った言葉が、「3時に来るぞ……」

いやもう本当に勘弁でした。3時に何が来るのかも知らないし、知りたくもないし、とにかく逃げることだけに頭を巡らせました。全身が鳥肌で、足も震えていたと思います。
Aに目いっぱいの大喝を喰らわせると、一瞬だけ正気に戻ったような気がします。その瞬間を見計らって、ぼくは後ろの窓を開ける時間を確保しました。2階でしたし、靴も取れませんでしたが、無我夢中で飛び降りました。どんな着地をしたか覚えてませんが、とにかくコンクリートのうえに無事に着地したことは確かで、ぼくは無我夢中で駅に向かって裸足で逃げてました。大声を上げていたと思います。
気勢を上げながら裸足で全力疾走する男って、かなり危険人物ですよね……。でも、そんなことを考える余裕もありませんでした。
ようやくアパートを離れたあとで、ふとアパートのほうを見ると、Aの影が窓からこちらを見ているようでした。再び鳥肌です。
それからはもう振り返りもせずに、駅まで駆けました。そして裸足で電車ですよ。裸足で電車に乗り、裸足で家まで歩いた記憶が強く残っています。

それだけのお話です。その後、Aからのコンタクトは一切ありませんでした。
20年前のことなので記憶違いのところは幾つかあると思いますけれども、とくにオチもないお話でした。

要点としては、ぼくは霊体験をしたわけでも多分ないし、霊のようなものを見たこともありません。このほかのオカルト体験は、ただの一度もありません。金縛りのようなことにすら遭遇したこともないですし、何も感じたことはありません。
また、エンタメ的な扱いの霊やオカルトは信じておりません。でも、この時空――空間3次元・時間1次元――の4次元は、あくまでぼくら人間がそこまでしか知覚できていないのであって、物理学上、10次元くらいは実在しているのだと考えています。

2017/06/29 22:02

至道先生のめっちゃコワイ話のあとに書き込むのは気が引けるのですが…
その5です。

私は以前、実話系恐怖漫画雑誌を出している出版社に勤めていました。
グラビアページに、読者から寄せられた心霊写真のコーナーがあって、当時はデータで送られてくるのではなくて、毎月何通も、現像した写真が送られてくるのですね。
なかには見た瞬間に、霊感のない私でも「これはヤバイ…?」と背筋がぞくっとするものがあったり。
そんな心霊写真関係で、コワイな~と思ったことが一度ありました。
投稿された心霊写真をまとめて単行本にしようという企画が進行していた時。
担当編集の男性が、真っ青な顔をして同僚たちに告げてきたんです。

「1枚だけ、どうしてもスキャンできない写真がある…」と。

「何度スキャンしなおしても、妙なかすれが出たり、機械がエラーになったりして、データにならない」というのです。その写真、見せてもらいましたが、よくある、普通の、心霊写真でした。
でも、こういうのが本物なのかもしれない…と思ったのでした。

編集部では、ときどき写真たちのお祓いをしていたように記憶しています。

2017/06/30 11:50

その6
怖いというより少し不思議、ぐらいの話なんですけど。

僕の家は青森とはいえ結構開発はされているところにあって、周りに自然とか仏閣とかはあんまりないアスファルトで覆われたよくある下町、ぐらいの田舎なんですよね。もっと外れに行けば当然、結構田んぼとかはあるんですけど。
そんな家の近く、歩いて2~3分ぐらいの場所に駄菓子屋があって、僕は5歳ぐらいの頃にお小遣いをもらってそこに行こうと外に出たんです。

そうして隣の隣の家ぐらいの前を通った時。
そこでちょっとだけ年齢が上ぐらいの、坊主頭の少年が箒を持って掃き掃除をしてたんです。
全然知り合いでもなんでもないんですけど、そのときに「遊ぼうよ!」って話しかけられまして。
では僕は当時めっちゃ嫌な子どもで、とても人見知りする子だったんですよね。なので理由もなくとにかく嫌で嫌でしょうがなくて断ったんですけど、本当にしつこくって。
あんまりしつこいんで「じゃあ買い物してから!」って言い残して駄菓子屋に行ったんですよね。「絶対ね!」「待ってるから!」って何度も言われつつ。
そうして駄菓子屋でお菓子を買ったんですけど、やっぱり嫌で。
我ながら酷いんですけど僕はぐるっと家を迂回して、その家の前を通らずにそろりそろり逆方向から帰った……というだけのオチも何もないクソガキのお話でした。

ただ強烈に印象に残ってるのが、なぜかその子の格好が袈裟を着た坊主姿だったことなんですよね。近くに神社もお寺も宗教施設は何もないんですけど、まるで一休さんみたいな坊主頭と袈裟姿。

結局それ以後、その子を見たことは一度もありません。
掃き掃除までしてたっていうのに、たぶんその家の子じゃなかったんだよな……と思うと少し不思議なお話でした。

2017/06/30 15:54

その7です。

自分の話じゃありませんので、前のものより短いです。

過酷な生き様をたどった経営者から直接聞いた話です。この男、人様に誇れないような実に悪辣な商売をしており、頭の先からつま先までリアリズムに満ちた男です。理屈で説明できないことは絶対受け入れないタイプです。

たまたまこの男に、ぼくの先の体験談を話す機会があったんですよ。
そしたら案の定興味なさげな顔で、でも笑い飛ばしもせず、「ふーん」という感じでした。まぁぼくは(経営者としては)かなり生真面目な人間なんで(※自称です)、つまらん冗談や世辞は言わないことは理解していたでしょう。
でもぼくは、この男が笑い飛ばさなかったのが意外で、「もしかして社長も何か体験したことあんの?」くらいの話を返したように記憶してます。

その男が語ったところによると……
「一度だけ、生霊を見たことがあるかもしれん」

さらに突っ込んでみたんですよ、「どんな生霊だったんだ?」と。そりゃ聞くでしょう。

さらに男が続けます。
「一人暮らしだったときに、自室でシャワーを浴びようとしたんだよ。そして風呂場に行ったら、誰か入ってたんだよな」

今度はぼくが「ふーん」です。で、続けて「誰が入ってたんだ?」と聞いたところ、オウム返しで応じてきます。
「誰が入ってたと思う?」

「女とか言ったら俺は帰ろう」みたいなことを言ったと記憶してます。
しばらく沈黙があって、ようやく男が語りだします。
「風呂場のドアを開けたらさ……自分がシャワー浴びてたんだよな。そして、目があいやがったんだよ」
みたいに、他人事みたいに語りました。

ぼく
「つまらない冗談だな」
その男
「冗談だったらしょぼすぎる話だよな」
ぼく
「目があってどうしたんだよ」
その男
「全身が凍り付いたように感じたんだけど、何事もなかったようにドアを閉めて、それから家を飛び出した。神社行ってお祓いをして戻った。別に何ともなかったし、なんか変わったこともなかった」
ぼく
「それだけ?」
その男
「それだけだ。幻じゃなかったな」

ぼくも特に驚かず、「そういうこともあるのか」くらいの受け止め方でした。
正直、こうした話を他人から聞いても、半信半疑なのは拭い去れないものですね。しかしこの男は、ぼくから見ても異様に生命力に満ちているような恐るべき野郎だったので、わからなくもないような気もしました。
最後までそっけない会話でした。


以下まとめると……

★自分の実体験については当たり前だけどちゃんと確認している。

★人様のこうした話は、どんな真面目な顔をした会話であっても、話半分程度にしか受け止められない。

★リアルな実体験を得ていない人にこうした事柄を語っても、「ちょっと怪しい人」だと思われがち。妙な実体験を経ているぼくでさえ、他人のこうした話はまともに受け入れられない部分もある。ただ、完全否定するつもりはなくなっているのも確か。

★時間を空けた今だからわかるのは、この相手の男も、ぼくの話を同じように受け止めていて、話半分だけれども完全否定でもなく、「そんなこともあるよね」「そういうパターンもあるのか」くらいの受け止め方だったのではないか。

2017/06/30 21:11

その8

私が通っていた小学校の近くでは、秋になるとバザーが開かれていました。
小学生の私が、友達とバザーの商品を覗いて歩いていると、
おじさんに「値段も安くするし、おまけにお菓子をたくさんあげるよ」と声をかけられました。
夕方ということもあり、閉店セール状態だったのでしょう。


私は、干支の鶏と牛の置物(両手がふさがるほどの大きさ)を買いました。
確か2つで百円?で、百円以上のお菓子をもらえたので、とても満足して家に帰った記憶があります。


親には「気持ち悪い。捨てて!」と言われました。
私は「縁起物だし、なんかご利益ありそうだなー」と思って買ったので、当然拒否して部屋に飾って寝ました。

が、次の朝目を覚ますと置物がない!でも、すぐに見つかりました。
自分の部屋内の、昨晩とは違う場所に飾ってあったのです。


家族の誰かが動かしたのかな?と思ったのですが、家族の返事は「動かしていない」「気持ち悪いから触りたくもない」。


私も気味が悪くなって、その日の朝に置物を捨てました。


置物が動いた理由としては、家族のイタズラの可能性が一番あるのですが、家族にそういうイタズラをされたことが一度もないので、改めて何だったんだろうと思います。

2017/06/30 21:53

その9

怖くはないです。不思議な話。

私が子どものときの話です。
小学校の三年か四年くらいだったと思います。
ある日、私は、普通に手を洗っていた。なんなく、ぎゅっと両手を強く握りしめた。そうしたら手からにょろりと白くて長い虫が出てきた。ぎゅっと握れば握るだけ無数の虫が私の手から滲み出た。思わず手のひらを確認したけれど、ただ濡れているだけで、虫など手の上のどこにも見えない。水は透明のいつもの水だ。そこは台所で、私たち家族はその蛇口から出てくる水を飲用にも調理にも使っていた。札幌の上水道です。昭和時代とはいえ、もうとっくに世界は清潔で、上水道の蛇口から虫なんて湧かない。
しかし流水にまた手さらし、手のひらを圧迫すればするだけ、虫が水に流れていく。どんどんどんどん無数の虫が、流水にその身をくねらせて、細い白い糸がねじれるように蠢きながら流れていく。五十、八十……もしかしたら百くらい?
私の肌から虫が湧いて流れているのだとしたら、その虫は汗腺とかそういうようなものよりはずっと太い。肌の下にそれだけの動くものを入れている感覚はない。そもそもどうやって滲み出ているのかわからない。出てくる瞬間は目視できない。

ただ、流れ落ちた水には、白い虫が無数に蠢いている。

でも子どもだったし、それはいまでもそうかもしれないんですが、その不気味だけど見たことのない眺めがとてもおもしろくて、私はずっと、虫が途切れるまで、流水に手をさらしてぎゅっと強く手を圧迫して洗い続けたのです。
蛇口を開けはなしたまま水にさらして手を洗っていたので、とうとう白い虫はいなくなり、跡形もなく流れていった。
虫がいなくなってから「あ、虫をここに流したら、母に怒られるのでは」と考えた。普段使いの台所なので。そのとき出かけていた母が戻ってきてから報告をした。怒られるとおそるおそるでした。
母は薄気味悪そうに一応、流しまわりを点検し掃除してました。
身ぎれいしていて、この手のことについては口うるさくしていた母でしたが、あまり怒られなくてほっとしました。

あとで聞いた話ですが、その時期の私は、人見知りの激しい子どもであり、少し癖があったため、母はそういう私にやや手をやいていた。「虫がいるから」と近所の誰かに言われたらしく、民間伝承の虫封じのおまじないを聞いていて私にほどこしたのだとか。「それだったのかしら」と言われたけど「知らない」と答えるしかない子どもでした。

でも本当に私は手を洗うはしから水と共にシンクに落下し、流れていく虫がうねうねしているのを見たのです。
とても気持ちが悪く不思議な光景でした。

わたしの手があまりにも不潔すぎて虫が湧いていたのだとしたら……それはそれでやっぱり、そっちのほうがぞぞぞぞぞと怖い話です…………。

2017/07/01 10:39

その10

20年ぐらい前、私がとあるイベントを開催した時の話です。

イベントが終わり、会場を出て、手伝いをしてくれた皆さんと一緒に、新宿へあそびに行くことになりました。

地下鉄を降り、西口駅前の地上に出ました。

たしかスバルビルの前だったと思います。とりあえずご飯を食べようという話になり、人数も多かったので、全員で人数を数えました。

みなで、一人二人三人……と数え、私をふくめ全員が『11人いる』と答えました。
数も確認したので、11人で入れそうな店へと移動しました。

私は適当な店を見つけ、入り口で店員さんに、
『11人です』
と告げました。

ところが、店に入ってみると――――10人しかいないのです。

一体だれがいなくなったのか?

全員に聞いてみたのですが、誰ひとりとして、「誰かがいなくなった」とはいいませんでした。もちろん、私も、いなくなった人がいる、という認識にはならなかったのです。

あの時多かった一人とはいったい誰だったのか。
全員が数え間違えたとは思えません。

唯一思い当たることといえば、その中の一人が「医学生」で、献体の解剖をしていたことぐらいです。
あれってやっぱり……

2017/07/02 01:28

その11

やはり怖くはない話です。
うちの初代兄弟猫がまだ元気に生きていた頃の話。
なぜか盆の時期の仏間にいると猫は尻尾をぼわっと膨らませていた。
他の時期は同じ部屋でも普通です。
蝋燭とか雪洞とかあっても普通です。ただ盆の時期だけタヌキみたいにぼわぼわと尻尾を膨らませて仏間を歩くので「いるのかなあ。でも親族だから別にいても怖くないなあ。むしろおじいちゃんには会いたいなあ」と猫の視線を追いかけてなにも見えないけど「いるなら、ゆっくりしてって」と声をかけました。
写真撮っておけばよかったな……。

2017/07/03 11:51

プロフィール

佐々木禎子(ささき ていこ)
作家。
札幌出身・東京と札幌を行ったり来たりしています。
1992年雑誌JUNE「野菜畑で会うならば」でデビュー。

更新中のテーマ

完成テーマ

完成テーマはありません

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