怖い話をしよう

その6
怖いというより少し不思議、ぐらいの話なんですけど。

僕の家は青森とはいえ結構開発はされているところにあって、周りに自然とか仏閣とかはあんまりないアスファルトで覆われたよくある下町、ぐらいの田舎なんですよね。もっと外れに行けば当然、結構田んぼとかはあるんですけど。
そんな家の近く、歩いて2~3分ぐらいの場所に駄菓子屋があって、僕は5歳ぐらいの頃にお小遣いをもらってそこに行こうと外に出たんです。

そうして隣の隣の家ぐらいの前を通った時。
そこでちょっとだけ年齢が上ぐらいの、坊主頭の少年が箒を持って掃き掃除をしてたんです。
全然知り合いでもなんでもないんですけど、そのときに「遊ぼうよ!」って話しかけられまして。
では僕は当時めっちゃ嫌な子どもで、とても人見知りする子だったんですよね。なので理由もなくとにかく嫌で嫌でしょうがなくて断ったんですけど、本当にしつこくって。
あんまりしつこいんで「じゃあ買い物してから!」って言い残して駄菓子屋に行ったんですよね。「絶対ね!」「待ってるから!」って何度も言われつつ。
そうして駄菓子屋でお菓子を買ったんですけど、やっぱり嫌で。
我ながら酷いんですけど僕はぐるっと家を迂回して、その家の前を通らずにそろりそろり逆方向から帰った……というだけのオチも何もないクソガキのお話でした。

ただ強烈に印象に残ってるのが、なぜかその子の格好が袈裟を着た坊主姿だったことなんですよね。近くに神社もお寺も宗教施設は何もないんですけど、まるで一休さんみたいな坊主頭と袈裟姿。

結局それ以後、その子を見たことは一度もありません。
掃き掃除までしてたっていうのに、たぶんその家の子じゃなかったんだよな……と思うと少し不思議なお話でした。

2017/06/30 15:54

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プロフィール

佐々木禎子(ささき ていこ)
作家。
札幌出身・東京と札幌を行ったり来たりしています。
1992年雑誌JUNE「野菜畑で会うならば」でデビュー。

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