怖い話をしよう

その10

20年ぐらい前、私がとあるイベントを開催した時の話です。

イベントが終わり、会場を出て、手伝いをしてくれた皆さんと一緒に、新宿へあそびに行くことになりました。

地下鉄を降り、西口駅前の地上に出ました。

たしかスバルビルの前だったと思います。とりあえずご飯を食べようという話になり、人数も多かったので、全員で人数を数えました。

みなで、一人二人三人……と数え、私をふくめ全員が『11人いる』と答えました。
数も確認したので、11人で入れそうな店へと移動しました。

私は適当な店を見つけ、入り口で店員さんに、
『11人です』
と告げました。

ところが、店に入ってみると――――10人しかいないのです。

一体だれがいなくなったのか?

全員に聞いてみたのですが、誰ひとりとして、「誰かがいなくなった」とはいいませんでした。もちろん、私も、いなくなった人がいる、という認識にはならなかったのです。

あの時多かった一人とはいったい誰だったのか。
全員が数え間違えたとは思えません。

唯一思い当たることといえば、その中の一人が「医学生」で、献体の解剖をしていたことぐらいです。
あれってやっぱり……

2017/07/02 01:28

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プロフィール

佐々木禎子(ささき ていこ)
作家。
札幌出身・東京と札幌を行ったり来たりしています。
1992年雑誌JUNE「野菜畑で会うならば」でデビュー。

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