インターミッション⓷ ラスト 29/*。
『観念の生理作用』は、彼を強いて、ぎりぎりまでの自己純化と自己絶対化に向かう。
そして絶対化された観念は、逆説的に彼の存在を規定しはじめる。
その果てで、彼は、他者にというよりも自分自身に対して、
疎外した観念の絶対性を証明して見せなければならない場所まで追い詰められていく。
もしもそこから逃れようとすれば、彼にとっての全世界は崩壊するであろう。
観念の絶対性においてのみ、再獲得された彼の世界は支えられているのだから。
こうして彼は、緩やかな破滅から、急激な、劇的な破滅へと押しやられていくのである。
彼は、破滅をより激しく、より徹底して演じきらなければならない。
それは観念的自己回復の完成に向けての企てであり、死への跳躍でもある…。〈続く〉
現象学的記述とは何か?
うろ覚えでは…、
一切の理論理屈を棚上げし、自己の内で疑い得ない事実と感じるもののみに基づいて
記述を行うこととなる。KK はあの書を、この手法に基づいて著したと告白している。
赤の他者の分析ではないのだ。他人事ではないのだ。
自身の内で確認された情動がいかなる形をとったのかの自省を背景として、
外部の事象を、直覚/直感の元、分析したものなのである。
今回の記述は普遍的な現象についてなのだ。
不幸のお手本、それが如何に起こるかの…。