墓参りの際、アーサーはハリーの息子であるスティーブンと再会する。

 父の仇を取るため車上荒らしを見境なく殺そうとするスティーヴンを、アーサーは止める。

 その翌日、スティーブンはアーサーに弟子入りを申し込む。
「父は俺じゃなくあんたに全てを教えた。恩返しをしてくれ。父の代わりに俺に」
 スティーブンの望みどおり、アーサーは彼を弟子にする。

 奇しくもハリーを殺したことが切欠で、彼の忠告を守ることになったアーサー。

 しかし、ハリーの裏切りの裏には、ディーンのある思惑があり……?
 ということでここからが感想。物語の核心に触れるネタバレもあるので注意してくださいね。
 毎度毎度アウトローを演じているステイサムさんですが、この映画ではタイトル通り、その「クールさ」「渋さ」が特に引き立っているように感じました。

 感情を激しく表に出すことはなく、終始無表情に……それでいて内に秘めたプライドや熱さなどが滲み出てくるのがよくわかるんです。
 スティーブンから仕事をした時の感情について尋ねられる場面や、死んだはずの男を見つけディーンの裏切りに気づいた瞬間の表情の僅かな変化など、堪りませんね。
 冒頭、仕事の後に音楽を聞きながらターゲットの写真を燃やし、仕事の流儀を語るシーンも「仕事人」感が出ていてOPとしては最高クラスの出来ではないでしょうか。

 夏の暑さなど忘れてしまうほどのクールさです。
 もちろんステイサム映画特有のアクションは健在です。

 序盤では普段より落ち着いたアクションが目立ちますが、後半は弟子のスティーブンも加わり師弟合わせた豪快なアクションを繰り広げてくれます。
 特に悪徳教祖を殺したことがバレ、二人でビルから逃げ出すシーンがいいですね。

 まるでチョコとバニラの味が同時に味わえるミックスソフトのようです。

 二人の関係はハードですがね!

 ここでは洗練されたアーサーの動きとまだ少し粗さの残るスティーブンの動きの対比などに注目してみると、より楽しめることでしょう。
 また今作はアクションと並ぶくらい、ともすればそれ以上に人間模様に焦点が当たった作品です。
 友人を殺してしまったアーサーと、その友人の息子、スティーブンの師弟関係は、見ていてハラハラすると同時に、何か言葉にできない物が込み上げてきます。


 感情的で怒りっぽいスティーブンがアーサーには敬意を抱いて素直に従う様子や、認めてほしくてつい無茶をしてしまう場面なども、王道ながら心を奪われますね。
仕事では無慈悲なアーサーの方も、彼に対しては何かと優しげなのがまた……。

 ハリーの言っていた仲間が必要だ、という言葉の意味は、仕事だけに限ったことではなかったのかもしれません。
 最後にはスティーブンが父を殺した犯人がアーサーであると知り、彼の殺害を試みます。

 アーサーもスティーブンの殺意を知りながら、それを受け入れる。
「メカニック」と呼ばれた男にも、友人を殺した罪悪感には耐えられなかったのか。

 それとも弟子であるスティーブンとの絆がそうさせたのか……。

 どちらにせよ彼は死んで、機械から人間になったのです。
 父の仇を取ったスティーブンは冒頭でアーサーがしていたようにレコードを掛け、ガレージの車へ乗り込む。

 アーサーはもう居ない。新しい人生へ、彼は一人走り出したのだ……

プロフィール

ダンゲロスプレイヤーの一人。
映画の感想などをつぶやいていきます。

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