そしてさらに困ったことに、このドワーフ共、頭が悪く短気な上に、なんと自慢であったはずの戦いにおいても全くと言っていいほど役にたたない。
「細腕~!」「ホビットじゃあ一晩も持たねぇ~!」「この役立たずが!すっこんでな!」
 とビルボ君を貧弱だなんだのと罵っていた割に、戦いになったら一瞬でやられる。

 いや、正しくはしばらく粘るのだが、タフネスが高いだけでロクに相手を倒せる気配がない。
 途中、トロルに盗まれた馬をビルボが取り返しにいくシーンが有る。ビルボは失敗して危うく食われそうになるのだが、そこにドワーフ達が駆けつけてくる。

 ビルボは彼らの強さに感心し、ドワーフたちも馬を取り返そうとした勇気を認める。不仲解消!お互い持ち味を認めあってウィン・ウィンだ!

……と、誰もがこのシーンを見た時には思うだろう。
 だが実際にはたった三匹のトロルに十五人のドワーフは手間取り、結局ビルボを人質に取られて負ける。荘厳な音楽が流れ、完全に勝利ムードに入っていたのにも関わらず負ける。

 あわや全滅化思われたその時、別行動していたガンダルフが駆けつけ九死に一生を得るのだが……

 このようなシーンがこのあと何度も続く。
 オークと出会った時にも逃げるだけで全然反撃できないし、谷でゴブリンの群れに出くわしたときも為す術なく連れて行かれて死にかける。
 王であるトーリンはかつて戦争でオークの親玉アゾグに勝った!と言っていたが、その後の一騎打ちでは一太刀も浴びせられるボロボロに負ける。
 このように、お前らそれでどうやってドラゴン殺すつもりだったの!?トカゲか何かと勘違いしてない!?と突っ込みたくなる位、ドワーフ達は弱い。
 途中で出てきたエルフの王子が
「いや絶対無理だから止めろよ……ガンダルフも馬鹿言ってないでこいつら止めろよ……死ぬぞこいつら……マジで……」
と忠告するのも頷ける。俺でも同じことを言う。
恐らくこのエルフの王はイヤミを言ってくるポジションの人だと思うのだが、それが正論に聴こえてくるくらい、とにかくドワーフ達が役に立たないのだ。
 しかも、ビルボへの悪口は終盤に入っても全く消えない。毎回ぼろくそに言うし、
「そんなこと言ってどうせ里に帰りたいんだろ!?どうせついてきても死ぬぞ!関係ないんだからさっさと帰ってよね!」
 と面倒くさいツンデレみたいに繰り返してくる。なんでビルボは付いていくんだろう……一応劇中で答えられるが、こいつもとんだお人好し……というかやはり物語に操られているようにしか見えない。
 その後ビルボがトーリンを助けて勇気を認められる場面でも、正直勇気より愛想を尽かさなかったほうに感謝したほうがいいんじゃねえかな……と感じてしまう。
 延々ドワーフ達の悪口ばかり言ってきたが、正直なところ主人公であるビルボもあんまり役に立たない。忍ぶ場面では毎回見つかるし、戦いではか弱いドワーフ達以上に役に立たない。知性の方もせいぜいドワーフ達がキレにくくなった位のものである。
 頼みの綱はガンダルフしかいないのだが、この人もへそ曲がりで、ピンチの時に限ってドワーフの王、トーリンと喧嘩していてその場にいない。

 一行が本当に全滅しかけた時になって漸く出てくるので、許してくれるタイミングを見計らってるんじゃねえのと勘ぐってしまう。

 それでも戦闘に限ってはやはり最強なので無碍にすることもできない。困ったおじいちゃんである。
 そろそろ飽きてきた頃だろうと思うので、良かった部分も書いていこう。
 内容にも、見るべきところはある。

 ガンダルフがビルボに勇気がなんたるかを語るその内容は王道らしく熱いものだし、ビルボがドワーフ達についていく理由も素直にかっこいい。ガンダルフが悪を封じるには力だけでは足りない、と自論を展開する場面にも、俺は感心した。

プロフィール

ダンゲロスプレイヤーの一人。
映画の感想などをつぶやいていきます。

更新中のテーマ

完成テーマ

完成テーマはありません

アーカイブ

ページトップへ